●年金者組合神奈川県本部が、補聴器購入に公的助成を求める取り組みを始めました。
私は2019年9月の本会議で、この問題を取り上げています。地元から複数で要望が出ていましたし、加齢性難聴の方が増えていること、補聴器が高いことなど少なからず聞いていましたので。
私は質問で、「加齢性難聴の方にとって、補聴器使用は、認知症などの予防的効果や、生活の質の確保のために必要。でも高額のために購入できないことが多い。神奈川県として公的補助制度を設けるべき」と求めました。
その時の知事の答弁は、「補聴器の必要性は認めるが、国での対応が必要。現時点では県が補助を行うことは考えてはいない」と。
●その時、運動の広がりの必要性を感じたものでしたが、今回年金者組合が、先日の学習会に続き、取り組みを始めました。
要望項目は、
1 加齢性難聴者の補聴器購入に当たり、県として助成されるよう要望します。
2 国に対して高齢者特定健診の項目に「聴力検査」を加えるよう求めて下さい。
というシンプルなもの。
県の回答は、次の通り。
1について=難聴が認知症のリスクを負うことは承知しているが、財源が問題。国レベルでの対応が必要。国は補聴器の効果を測定中。(難聴と認知症の?)エビデンスが確立されていない。
2について=現状は不十分だと認識している。聴力検査が必要かどうかは、国が示すエビデンスに基づき判断したい。今後の動向を見て決めていきたい。
●私はこの「エビデンス」という言葉を振りかざすことにカチン!
「いくつもの学会や専門家が認知症と難聴の関連性を指摘しているではないか。仮に(100歩譲って)その関連性が示されないとしても、現に聞こえないという困難が存在しているのだから、それに対する支援をすべき」と言わずにいられませんでした。
また「国は効果を測定中」って、いったい何だ?補聴器は効果が疑わしいということか?
私があまり時間を使ってもいけないので、この確認は、後に譲ることにしましたが。
●参加者からもたくさんの要望・意見が出されました。
<聞こえていない>
*アンケートを取ると3分の一の人が聞こえていない。これでは、会議など一生懸命やっても伝わっていないということだ。
*補聴器を用いて充実した暮らしをしたい。聞こえないことによるトラブルも多い。会話が成り立たない。
*聞こえないと車にも気がつかないことが多く事故に繋がる。
*認知症の大きな要因となっているのだから、補聴器使用によって予防的効果が得られれば、医療費の削減効果もある。
<補聴器が高い>
*補聴器が高いので購入を諦めてしまう人は多くいる。行き着くところが孤独。
*調整に時間がかかる。
*儲けの対象となり、難聴者は翻弄されている。
*高いので、片方しか買えない人もいる。両方揃えると効果が全く違う。
<国待ちではなく>
*財源が大変というが、神奈川県に高齢者が多くなっているのは当然だ。生産の拠点として全国から若者を神奈川に呼び寄せ、従事させてきたのだから。(なるほど。この視点は私も抜けていました)
*国待ちではなく県でやって欲しい。現に助成している自治体はたくさんある。
<健診>
*意見書上げている自治体も多くある。
*市の健診に聴力検査をオプションで付けると、6000円請求された。
●国待ちはここでも盛んに使われましたが、神奈川では他の分野でも度々聴くセリフです。自治体が先鞭をつけて国も動かしていくという事は、住民に身近な事態ならではのやりがいのある仕事です。神奈川県も頑張るべし。
認知症と難聴の関連では、2017年の国際アルツハイマー病会議が、補聴器の早期使用は聞こえを取り戻すことを日本耳鼻咽喉科学会が示しています。他にも多くの研究成果があります。
「エビデンス」などという言葉を用いてかわすのではなく、住民要望を真正面から受け止めてほしいものです。(2021.1.27)