●神奈川県はベッド数のひっ迫を受け、入院等の基準の見直しを行うと発表。
県はそれまで、65歳以上の人や基礎疾患がある人は、原則として無症状・軽症者含めて入院させていましたが、これを見直し、点数化した基準により振り分けるというものです。(県はスコア制などといっていますが、「スコア」=得点という語感が私には抵抗あり)
いよいよ、ひっ迫してきたなと思います。現在神奈川県全体のベッド使用率は約70%と聞いています。
●振り分けの問題も含め、直近のリアルな状況を把握するために、汐田総合病院に伺いました。
振り分けについて、「慎重に行う必要はあるが、ある程度はやむを得ない」との見解でしたが、重症者や中等症については、そもそも以前から不足していると指摘されました。その為「10日で退院」が目安ともなり、退院基準も問題とのこと。ある病院では、退院後に、容態が悪化し死亡した例もあると。
また、県内全体の平均化された数字からはわかりませんが、「川崎・横浜などは全く足りていない」といいます。このような状態は、以前から指摘されていたとも。
ICU(集中治療室)を減らしてきたことの矛盾が、今顕著であり、ICU切り捨て策の責任が問われると。
「ICUやエクモ(ECMO;体外式膜型人工肺)を扱うスタッフは、すぐには育たない」というのは、他の医療機関からも度々お聞きしています。
やはり、問題は振り分け以前という事です。まさに、今までの医療政策が問われます。
●PCR検査については、今優先的に行ってほしいのは、陽性者が出た場合の施設や地域全体の速やかな検査という事でした。疫学調査で時間をかけ、それから検査するというのでは遅すぎるとの指摘です。
もっともです。疫学調査は必要ですが、同時に全体の検査を行わなければ、隔離が遅れを取り、感染を広げてしまいますから。
その点、神奈川県としては、施設全体の検査はある程度進んでいますが、横浜ではどのような状況か、確認しなければなりません。
●こちらは協力病院として、疑似症の方を受け入れていますが、「いつまで続くのか」という疲労感が全体を覆っているといいます。
またやはり財政的には、「借金でしのいでいる。赤字補てんは、空床補償のみではとても追いつかない」という事です。
さらなる財政補てんが、切実に望まれています。菅政権も神奈川県も、この点に本気で臨まなければ、取り返しがつかないことになります。
●医療者としての責任感からといいますが、様々な努力には、本当に頭が下がります。
疑似患者を受け入れながら、通常医療の維持にも力を尽くしてきました。
また、「発熱難民」受け入れも困難な中で行っています。
検査体制も充実させました。抗原・抗体・定性・定量検査4種類を組み合わせ安全性確保をしているそうです。(定性・定量この字でいいのか不確か。この仕組みは確認するいとまがなく)
お正月も1日だけ休みで、他は開けるとのこと。(これについて、正月手当の要望もありました)
●これらの奮闘に対して、政治は第一に財政的に支えなければなりません。さらにそれぞれの分野の専門家の育成・確保に力を尽くさなければなりません。(大阪で、府の補助金削減も要因となった看護学校閉校のニュースもあり)
保健所削減や公立・公的病院を縮小させる動きにも警鐘を鳴らし、地域全体の医療や感染症への対応の拡充が強く求められました。(2020.12.8)