●昨年の台風で、流域に大きな被害をもたらした多摩川。その改修状況等の確認の為に、はたの君枝議員・市議団とともに国土交通省京浜河川事務所を訪れました。
はたの議員の予算委員会質疑で、政府が「堤防や護岸の復旧事業に28億円、再度の災害防止のための河道掘削などに163億円、計191億円の内、今年度は約35億円の補正予算を計上」と答弁したことについての確認です。
●写真にある「多摩川緊急治水対策プロジェクト」が示されました。
図の多摩川の赤いラインが「河道掘削、樹木伐採」の対象とされている部分です。私は当然ながら、「大きな被害を流域でもたらしている中原区・高津区に相当する部分がプロジェクトに含まれていないのはなぜか」と質問。
「プロジェクト対象ではないが、通常の維持管理の一環として、図の白い部分についても工事は行う」との答え。
いつ行われるのかが問題です。「今年の台風前に行わなければ意味が半減する。住民の方は、また同様の被害が起きたら・・と不安な思いでいる」と投げかけました。
時期については「できるだけ早く行う」との答えも得られましたが、ときおり秋以降との言葉もポロッと漏れ、私はその度に「秋じゃなくて春からですよね」とダメ押し。
●でも、対象ではないところもやるのであれば、プロジェクトの意味は何かと、私は気になりました。
この場では時間の問題もあり、翌日電話で確認しました。「プロジェクトは、川幅が狭いところに対し、水路の幅を広げるための掘削を行う」というのが結論。私は「中原区などの赤印がない区間は、川幅があり、水路の断面を増やす作業は川底の浚渫(しゅんせつ)だけで足りるという判断ですね」と確認しました。「その通り」との回答に重ねて「浚渫を速やかに行ってくださいね」としつこい私。
●まだ疑問がありました。「川幅が足りていると判断するこの区間で、なぜ被害が多く生じたのか」と問うと、「下水樋管 (げすいひかん )が多いからではないか」と。川崎区など海が近くなると、川を経由せずに直接海に流す樋管もあるそうです。「じゃ上流は?」との疑問には明らかな答えはありませんでしたが、上流からの水量に雨水が加わり、中流以下は負担が大きくなるとのお話もありました。
今後下流の幅を広げる掘削工事は、スムーズな流れを促し中流の水位を抑える事にも繋がるとの説明も。そうでしょうね、ある程度は。
●川崎市民は、市の下水樋管管理も大きな問題としています。でもそれとともに、多摩川の容量拡大、あるいは多摩川以外の水の器(貯水槽など)が必要となります。大雨により水の絶対量が大きくなれば、排水樋管を閉めても多摩川の堤防を超えた水が襲ってくることはあり得ますから。
多摩川のコントロールとともに、市の対応が必要なことは言うまでもありません。樋管の開閉問題だけではなく、排水樋管を閉めた場合や低地の場合には、当然ポンプの設置が必要となります。
●また市古市議が心配していた、河川対策で河川敷の野球場などがせばまったりしないかという点も確認したところ、「プロジェクト区間は、水路の幅を広げるので河川敷利用に影響する場合もあるが、通常の維持管理部分は、河川敷には影響なし」との回答。これにはひと安心。普段は貴重なグランドですから。
●国会議員の質問を基に、南関東ブロック事務所が設定したこの場、県議・市議が連携して、地元の課題を直接国に反映できる有意義な場となりました。
多摩川は国の管理、市や県だけでは動かしがたいことも少なからずあります。このような場はとても助かります。
はたのさん、柴田さん、ありがとうございます。(2020.3.26)