●決算委員会最終日、反対討論を行いました。
全ての議案に対し、共産党以外の全会派が賛成しました。共産党がなぜ反対となるのか、その理由を是非ご覧いただきたいと思います。反対の主な理由を以下に。
【一般会計】
●財政運営について
2018年度については、一般会計は、実質収支約49億5223万円の黒字です。19年度連続の黒字です。
単年度収支は、約14億4631万円の赤字ですが、これは、県債管理基金からの繰入を当初予算から363億円も減らし、約145億円にとどめている事が一つの理由です。さほどの財源不足ではありません。
県は毎年財源不足を強調し、これが県民要望を抑制させる役割を果たしています。財源不足を過大に持ち出すのではなく、県民生活最優先の財政運営を行うべきです。
●ヘルスケアニューフロンティア政策について
この政策の二本柱の一つとしている「未病」については、県民がお金を出して健康のための医薬品・器具・サービスを購入することが前提となっており、自治体としての役割が欠落しています。
県民の健康を本気で願うなら、健康格差解消のために公衆衛生部門に予算を増やし、小児医療費無料化や重度障害者医療費助成の拡充を図ることこそ必要です。知事が好む「未病」の言葉の普及にお金とエネルギーを使うことはやめるべきです。
●特別支援学校に関わる施策について
象徴的なのが秦野養護学校末広校舎です。末広小学校の校舎を借りて設けられていますが、貸主である小学校の生徒の事情を優先することが前提となり、養護学校の生徒は実態として体育館が使えず、給食・保健室・音楽室の不備などを強いられ、学習県の保障がなされていません。
特別支援学校の不足が全国的にも問題となっていますが、さらに深刻なのが神奈川県です。末広校舎の例を「地域との連携の好事例」などと讃えていますが、とんでもありません。これらの改善と特別支援学校の増設を急ぐべきです。
●村岡新駅について
昨年度、村岡新駅(仮称)設置協議会も設け、新駅設置費用の3分の1を県が負担するとしています。昨年4月には、武田薬品工業と覚書を交わし、ヘルスケアニューフロンティア政策推進を約し、新駅とともにヘルスイノベーションパークの開設がうたわれています。
一方で、住民要求に基づかない新駅設置と周辺のまちづくりに反対している人も多く、その有用性も疑問視されています。
●リニア中央新幹線について
県は、リニア中央新幹線建設推進のために、昨年度は予算も職員体制も倍以上にして用地買収交渉などのスピードアップを図っています。
しかしながら、住民は移転を強いられ、生活基盤を奪われています。水源林の一部を失い、水脈も変えられるなど生活破壊と自然破壊も深刻です。トンネル工事に伴う残土処分場も水源確保への影響が懸念されています。住民に不利益を強いるリニア中央新幹線推進の姿勢は、改めるべきです。
●幼児教育・保育の無償化について
10月から、幼児教育・保育の無償化が始まりましたが、幼稚園類似施設と外国人学校は対象外となっています。県はこれまでも朝鮮学園生徒に対する学費補助を打ち切ってきました。この差別的取り扱いをやめるとともに、今回の無償化についても外国人学校を対象とするべきです。
【特別会計】
●神奈川県国民健康保険事業会計について
当初予算に比べて、大幅な黒字となりました。医療給付費が少なかったことが要因と思われますが、保険料負担を過大とさせないため今後より正確な見積もりが必要です。
余剰分について、保険料の引き下げに最大限活用することを求めました。保険者努力支援制度についても、加入者に過酷な取り立てなど行わないよう求めています。
事業主負担がない国民健康保険制度に対しては、国に1兆円の拠出を求めるとともに県の負担、市町村一般会計からの繰り入れが必須です。
国保都道府県化は、基本的に医療費抑制を狙ったものであることから、保険者努力支援制度などの問題点などを指摘しながら、仕組みを変えることを求めています。
【神奈川県公営企業会計決算】
●箱根地区水道事業包括委託について
昨年度、包括委託2期目に入いりましたが、この事業の目的は引き続き「民間企業が水道運営のノウハウを習得し、事業展開できるように支援する」とされています。
水は命の水と言われるように、高い公共性が求められます。採算性に左右されるようなことがあってはなりません。
あくまでも自治体が責任を持って運営するべきです。民間企業支援のために箱根地区水道を明け渡すことは住民の命や暮らしにとって極めて無責任な態度です。箱根地区水道事業包括委託はやめるべきです。(2019.11.7)