●補聴器の実態について調べているうちにたどり着いたのが、神奈川県聴覚障害者福祉センター(藤沢市藤沢933-2)です。早速県議団で訪問しました。
1980年の設置。2006年から指定管理者として社会福祉法人神奈川聴覚障害者総合福祉協会が運営しています。
ビデオライブラリー、視聴覚機器の貸出し、聴覚障害児・者及び家族との相談、聴力検査・補聴器適合検査、手話通訳者・要約筆記者の要請、手話通訳者・要約筆記者の派遣、聴覚障害児の指導など行っています。
●館内を見せていただきましたが、独特の配慮が施されています。
例えば、階段の踊り場には鏡が設けられています。これは、通常は音で察知する他の利用者の存在を知るためです。エレベーターや部屋のドアも、ガラス部分を広く取り、視覚で情報をキャッチできるようにしています。
ロビーには、音をランプの点滅や振動で知らせる機器が紹介されていました。
ロビーの壁のモチーフは、手話の「幸せ」を表しているそうです。
●今回の調査のきっかけであった難聴者の相談に、関心は集まりました。
言語聴覚士と障がい当事者がチームとして、週2日の相談を受けています。ひとつの相談に1時間半ぐらいは本来必要ですが、今はフル稼働状態で、1日10件ほど受けているため、時間的には十分ではないとのこと。予約は1か月先になります。
県内各地から相談者が訪れています。
ピュアカウンセリングも含め相談を最初に行い、聴力検査をしながら、機種の適合など行いますが、試用のための貸し出しもしています。
このようなプロセスを経ずに、購入したけれど合わないというケースが、非常に多いそうです。
●難聴を抱える多くの方が、このような相談とともに自分に合った機会を選べるようになると、安心して購入でき、ストレスも軽減できるのに、と思いながら聞きました。
体制強化を実現したいものです。せめて週5日位の相談体制が可能になれば、予約待ちも緩和され、相談の時間も確保されます。当事者団体からも要望があるそうです。
利用者はやはり増えている由。
●他の分野では、手話通訳、要約筆記など情報保障者の養成にも力を入れています。電話リレー、遠隔手話通訳等の方法も用いられるそうです。
業務全般にわたって、市町村の担当窓口との連携をより強める必要性が強調されました。
市町村においては、手話相談員不在のところもあり、必要な情報が伝わっていない場合も考えられるとのこと。
●職員は非正規含め26人です。ここもやはり指定管理料の削減の下で、人件費がしわ寄せを受け、管理職と警備員を減らさざるをえなかったと。あちこちの指定管理施設で悲鳴が上がっています。
体制強化も、指定管理制度の下では至難の業です。(2019.8.29)