●質問で取り上げた一つは、県立高校の観点別評価についてです。
子どもの小学校の通知表などで覚えがありますが、関心・意欲・態度などの観点別に評価するものです。教科ごとに異なる観点も用意されています。
これが大変負担になっていながら、教育効果には結びつかないと、県立高校の先生方から伺っていました。
文科省が行った調査でも、小・中に比べ、高校教師の戸惑いが多く表れていました。
現場からは、次のような声を伺っています。
・的確な評価は必要だが、観点別評価がそれに応えられるものとは言えない。
・意欲や関心を図ることは、根拠づけが非常に困難。
・総合的な評価と観点別評価の整合性をとるのが困難。どちらからのアプローチかによって、評価が違ってくる。
・40人の生徒を観点別に評価することは、目立つ子を除けば不可能に近い。
このようなやり方を用いていない県もあるという事ですが、神奈川県は率先して行っています。
教師の多忙化も深刻なことから、有効性が疑わしい観点別評価の見直しを求めました。
答弁は、観点別はりっぱに役割を果たしていると。現場の声を受けとめる余地は全くないといわんばかりに。
●次に取り上げたのはバカロレア認定校について。
バカロレア認定校というのは、世界共通の大学入学資格とそれに繋がる教育プログラムを導入する学校です。その認定を受けるためには、シャワー付きの理科室、金庫とセキュリティが完備された試験答案等管理室、少人数セミナー用教室、ホールなどの完備が条件です。
その条件を満たすために、この度8億5300万円をかけて新棟を建築します。
さらにバカロレア認定校は認定前約130万円、認定後約130万円、その後毎年約130万円を払い続けるという規定です。
私は、多くの老朽化したまま置かれている県立高校と引き比べてお金のかけ方が違い過ぎている点が県立高校としてふさわしいのかを問いました。しかもその諸設備は、現実の必要性とはかけ離れているといわざるを得ません。過剰な条件を課す仕組み自体にも疑問を感じます。
また留学は、これまでもバカロレア認定を経なくても行われています。私は、新棟の必要性とともに、バカロレア認定校を卒業しなければ受験不可の学校が何校あるかを問いました。これについては、把握していないという答弁。
リアルな認識抜きに、いわゆる「グローバル化」に踊らされているような気がします。海外に華々しく出て行くことが、目的化され過ぎてはいないでしょうか。
●次の質問は、教師の業務の範囲について。
本来は多忙化解消のために教員増を求める質問でしたが、時間がなくなり、業務の範囲に限定して質問。
中教審答申は、教師の多忙化解消の名の下に、教員の仕事を細分化し、授業の準備・学習評価や成績処理・進路指導などを教師の仕事の外に置こうとしています。中教審は、これを「学校及び教師が担う業務の明確化・適正化」と称し、削減する業務を洗い出すとも言っています。
機械的な業務の細分化は、系統的な指導を困難にします。教師の業務を総合的に捉えること、多忙化解消のためには職員増で臨むことを求めました。(2019.3.4)