●日産元会長のカルロスゴーン容疑者をめぐる報道が飛び交う中、日産グローバル本社前での宣伝行動に参加しました。
一体どれ程の人が働いているのか、と思わせるほど、社屋に吸い込まれていく人の波は、尽きることがありません。一様にうつむき加減で押し殺した表情に感じられました。
この日は、2009年に解雇・派遣切りされて以来、雇用確保を求め闘っている争議解決のための行動でした。
でも当然ながら、ゴーン容疑者の事件にも言及し、マスコミ取材もあり、普段とは違う雰囲気の中で行われていました。
●大量解雇の裏で安全検査不正、度重なるリコールなどを生み出し、さらに今回発覚した報酬の過少申告、会社資金の私的流用。
労働者を人とも思わない会社経営は、利用者をも大事にしない、企業としてのモラルを捨て去る、経営者は自らの私腹を肥やすことに執着する…という事を今回しみじみ思わされました。
これらが当時、「奇跡のV字回復」「強いリーダーシップ」などともてはやされたことの実態でもあります。
●ゴーンの下で行われていたことといえば、私はやはり、派遣切りが忘れられません。
2009年当時、私は横須賀職安に勤務していました。仕事と住まいを同時に奪われた派遣労働者が荷物を抱え、訪れました。
国は緊急の救済制度を設けながら対応しました。住まいへの対応、生活資金への対応などにも追われ、従来の安定行政の業務を超えたかつてない経験でした。
●日産は会社責任でやめさせたにも拘らず、即刻寮から追い出しました。これもひどい仕打ちだと思いました。
また、派遣切りの状況把握のために人事課に電話した時に「その件なら資材課に」と言われたのも、私としてはショックでした。派遣の仕組みから言えばその通りで、そのことを知らない訳ではなかったのですが、リアルに響きました。
製造業に派遣を使えるようにしたことの問題点も露わにしました。(これについては、私の修士論文のテーマに触れる大きな問題でもありますが、長くなるので別の機会に)
●当時、ゴーン容疑者の報酬が約9億円だったことにも驚いたものです(実際にはもっと多かったのかもしれませんが)。
高額の役員報酬と片や年収200万にも満たない賃金、この不当さにもため息が出ました。仕事内容が違うとはいえ、その差はあまりにも大きすぎます。役員報酬や内部留保に傾かず、労働者にもっと分配すべきです。
今回の事件は、資本主義社会の仕組みと実態をとてもわかりやすく示したと思います。(2018.11.26)