●川崎市や新聞社などが後援し、実行委員会形式で主催する「かわさき大江戸時代まつり」という行事があります。
「今日一日あなたは江戸の人」と言う訳で、開会式も家康や春日局の衣装をまとった人たちが並びます。私はかわら版屋のいでたちで参加となりました。
●今年の展示は、友禅作家作品展、浮世絵展、秘宝展など。舞台では、京都から招いた日本髪美容師実演などが行われました。
私は参加できませんでしたが、午後、花魁道中なども行われました。
浮世絵は、斎藤文雄氏所蔵のもの。斎藤氏の解説付きで、江戸時代の名だたる作家の作品を見せていただきました。
友禅作家のある作品は三年をかけたというものもあり、見事な作品が並びました。
●日本髪実演は、初めて観ました。寝るときは箱枕で壊さないように気を遣いながら、一度結ったら、一週間は持たせていたそうです。。
それも無理はありません。これを毎日やるのでは大変、と思わせるほど時間と手間がかかります。
「何故こんな手のかかる複雑な形にしたのだろう?」とか「これを自分で結うことはおよそ困難、結ってくれる人がいない女性はどうしていたんだろう?」等の疑問が湧きましたが、さすがに質問の機会は、見つけられませんでした。
●江戸時代に限らず歴史や文化を探るのは、興味深いことでワクワクします。
そういえば、江戸の町は、循環を重視した省資源の町だとマルクスが資本論の中で述べていたと思います。
▼夜は岩波ホールで、映画「マルクス・エンゲルス」(6/15まで上映)を観ました。この映画で描いているのは、24歳のマルクスと22歳のエンゲルスが出会ってから「共産党宣言」の誕生まで。「共産党宣言」は1848年、マルクスが30歳の時に書かれています。
ラウル・ペック監督は最初から、一生を描くのは時間的に不可能なので、マルクスの若き日に焦点を当てたといっています。
▼マルクスは、そう多くは語りません。プル-ドン等を激しく批判する場面は、度々登場しますが、体系的にはまだ語ってはいません。
でもその中にも、「労働者」と「資本家」の存在をはっきりと認識した批判や、「所有とは何か」を論ずる場面を経て、更に当時の苛烈な労働者の生活を据えることを経て、「解釈」ではなく「変革」の視点が据えられていく過程が描かれています。
また、それまでの学者や思想家が示し得なかった新たな視点が「共産党宣言」の第一章で示されます。それは「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」というくだりです。
▼これらの軸を据えながら、若き日のマルクスが生き生きと描かれていると思います。今まであまり想像もしていなかった姿でした。マルクスの主張や転々とした亡命生活、経済的困窮などに気を奪われていましたが、こういう青年時代があったんだと改めて思いました。
また、エンゲルスとの友情は、つとに知られているところですが、妻イエニーの主体的な生き方や、その存在感もしっかりと描かれていました。
原題の「THE YOUNG KARL MARX」が頷けました。続編を観たいものです。(2018.5.4)