▼閉会中ですが、厚生常任委員会が開催されました。
神奈川県立がんセンターの先進医療といわれる重粒子治療についてです。ここの治療には、専門医が2人配置される必要があります。昨年の夏幹部医師が退職、さらに4人の専門医から退職の意向が伝えられ、重粒子線に限らず、千人を超すがん患者の治療が困難になるという事態が生じています。
これに対し、県は「医療の提供体制に関する調査委員会」及び「医師確保対策委員会」を設置し対応しています。医師確保という点では、非常勤・派遣などにより、3月までは治療体制を維持できるようになりました。4月以降はいまだ交渉中です。
なお、神奈川県立がんセンターは地方独立行政法人とされ、神奈川県立病院機構が管理を行っています。
▼調査委員会の報告などをめぐり、問題の所在・今後必要な対応などについて質疑がなされました。
私からは、調査委員会の認識に関り次の点を質しました。
●専門医の長期的な育成確保は言うまでもなく重要。しかし今回の異常な事態は、具体的な職場の環境を抜きには語れない。今回発端となった外部研修や経歴にかかわる医師と県立病院機構本部の認識が食い違っていることについては、どのような判断を行っているのか?
⇒調査委員会は一切の判断をしない。問題点の整理をしただけだ。
●今までにも事務職などで離職者が出ていると聞いている。この職場にはパワハラによるトラブルがあったとうかがえる報告書が出されている。改善に向けた取り組みがなされなければ、新しい医師が確保されたとしても定着が難しくなる。
⇒その通りだが、改善の具体的方策には至っていない。
●重粒子線治療については、16年度、年間200件を目標とし、実績は149件にとどまっている。また赤字続きとも聞いている。どのような問題と認識しているか。
⇒今後の運営方針の中で改善していきたい。
●がんセンターの実績やデータが蓄積されていないとも聞いている。これについて説明してほしい。
⇒詳細は把握していない。
●15分ほどの短いやり取りですが、それにしても不十分な答弁です。長期的な医師の確保策とともにパワハラ含む職場環境の改善が必要な旨、要望しました。
▼津久井やまゆり園にしても県立病院にしても、オーナーや設立者は県であり、住民からは県立としての役割を期待される一方、管理権限は指定管理者や県立病院機構にあるため、問題に的確に迫ることが困難になり、責任の所在も曖昧になりがちです。他産業の重層構造と同じ問題をはらんでいます。
障がい者支援施設も病院も、公が一定部分は責任を持ち、住民に確実なサービスを提供すべきです。また、現場を直接運営することにより、政策に的確に反映させることも可能となります。採算性や効率性を大義名分として、指定管理者制度や独法化を多用していることの弊害が、ここにも表れているように思いました。(2018.1.29)