●神奈川県社会保障推進協議会主催のこの集会、国保都道府県化を軸としながら、様々な視点が盛り込まれた集会でした。
●「国保の都道府県単位化で何が変わるのか」と題した講演で印象に残ったことは、社会保障についての二つの指摘です。
一つ目は、社会保障の活動こそ経済活動そのもの、地域経済に貢献する持続的な地域内循環の仕組みとなり得る。
二つ目に、心と体に無理をさせず、働き生きることができる社会づくりを志向するもの。
講師の長友薫輝三重短大教授は、小児医療費無料化などに対するペナルティーにも言及しました。「国がいう、無料化したら過剰受診が生じるとの現象は起きていない。子育て支援に取り組む自治体の努力こそ国も見習ってほしい」と。
●国保都道府県化の神奈川県の現状も県職員組合から報告されました。
一貫して問題となっている、市町村の一般会計からの繰り入れ(法定外繰り入れ)については、これが直ちに引き上げられた場合の保険料への影響は、国も認めていることを指摘し、引き続き市町村での取り組みが大事であることが強調されました。
この点では、6月の代表質問で藤井議員が当局から、法定外繰り入れの削減を「行うかどうかは各市町村の政策的判断によるもの」という答弁を引き出しています。
●また今後、国保制度を医療費抑制のために使おうとする国のねらいから注目されるのは、保険者努力制度であることも報告されました。
特定健診の受診率・後発医薬品の使用促進・地域包括ケアの推進・収納率向上などが加点の指標として示されています。ポイントが高ければ支援金が手厚く支給される仕組みです。
これについては、私が9月議会で、仕組みの改善とともに、競わせるのではなく、全体の底上げに繋がる運用を求めています。これについても当局は、「市町村と相談しながら努力する」といっています。
●これらを活用しながら、今後の取り組みとして、国保を社会保障として成り立たせ、払える保険料にするために次のことが強調されました。
一つ目は、国庫負担の増額です。1984年当時、医療費の45%だった国庫負担が、今は約25%に下がっています。
二つ目には、一般会計法定外繰り入れの増額です。
三つ目に、保険料算定における応能割比率を上げる事です。保険料は応能割(所得割・資産割)、応益割(均等割・平等割)で構成されています。この比率などは各自治体で違いますが、応能割を増やしていく各市町村での交渉が大事です。
四つ目に、保険者支援制度を保険料引き下げに活用させる取り組みです。
●多くの課題を抱えながら、まさにこの国の社会保障制度が試されています。象徴的な取り組みの一つが、この国民健康保険をめぐる取り組みです。市町村議会とともに、また社保協など皆さんの取り組みと共に頑張りたいと思います。(2017.11.11)