厚生常任委員にも、ご案内を頂きました。
●基調講演は、集会テーマを表題とした早稲田大学教授の岡部耕典(こうすけ)さん。示唆に富んだお話しでした。でも、障がい者の暮らし方をめぐっては、正解が一つではない逡巡も感じられます。印象に残ったことをいくつか記します。
▼ニューハンプシャー州の脱施設化はなぜ成功したのか―「施設解体」ありきではなく、「地域生活支援」の保障を
・地域での生活は当事者の権利として、その財源を保障する法律の制定
・地域自立生活支援の保障
・期限を区切らない地域移行
・入所者減に対応した施設職員の再教育と地域支援職への転換
▼地域移行に必要なのは、それだったら自分の息子・娘も地域生活ができそうだ、という実感がもてる「選択肢」が用意されること。
▼グループホームだけではなく重度訪問介護の活用も。
岡部さんの息子さんは、療育手帳2度・支援区分6の行動援護対象となる方です。24時間の見守り支援を受けながら、一人暮らしをしています。その姿も映像で映し出され、一つの可能性を示唆していました。
岡部さんは、重度訪問介護の活用は諸外国に比べてはるかに遅れているといいます。
▼地域移行に関わる西駒郷の経験にも触れて。
地域移行の先駆ともいえる西駒郷は、強度行動障害・最重度知的害者を対象とする「重度者向けグループホーム」に意欲的に取り組みました。でも、102名の生活体験実施後、移行できたのは9名のみという結果もあります。重度障がいの方の地域移行が容易ではないことも示しています。
▼神奈川県がなすべきは、すべての可能性をしっかり保障すること。
希望があれば、別のところに出ることも、施設に住み続けるのであれば住みやすい施設を。
●この後、津久井やまゆり園の希望者受け入れを表明した県央福祉会理事長の佐瀬睦夫氏の報告もありました。
職員の専門性の確保・プライドを保てる職業にすること、グループホームを支える制度を充実させるべきとのお話しでした。
障がい当事者参加のシンポジウムも行われました。一言一言がズシリと響きます。
障がい者支援施策を考える際の視点がいっぱい詰まった集会でした。(2017.7.26)