●ワーカーズネット川崎が主催する学習会に、何とか駆けつけることができました。
私は学生時代、賃金論のゼミに属していた事もあり「労働力の価値」には関心を持っています。「同一労働」あるいは「同一価値労働」は難しい問題もありますが、細部の議論は別として、今の日本の働き方の中で、同一労働同一賃金の確立は大きな意義を持ちます。
●以下は、講師の兵頭淳史さん(専修大学経済学部教授)が語られたごく一部ですが。
【同一労働同一賃金】
・1970年以降、男女間の賃金差別是正の原理として着目されてきた。
・1980年以降、欧州においては異なる雇用形態(正規と非正規)間の賃金差別是正を目指す用法が主となってきた。
・日本においても2000年以降、雇用形態間の賃金格差是正が主となってきた。
【同一価値労働同一賃金】
・異なる仕事であっても、技能・作業負担・責任の大きさetcの点で同等の価値を持つ仕事には、同一の賃率を保障することによって、賃金の男女差別を解消する考え方。「女性職への低評価」を是正するために、職務評価が重要な役割を果たす。
但し、兵頭さんは「職務評価のみに基づき賃金額を決定する」立場には立たず、賃金額決定には年功なども要素とすべきとします。
この点、私も同感です。従来の年功考慮の日本型賃金をすべて否定し、職務給のみ、あるいは能力給のみという賃金決定は、労働力の価値(労働者の再生産活動を担保する価値)を無視する結果となります。
この点、「欧米では職務給のみとする誤解も多いが、勤続年数はいずれの国においても考慮されている」と強調されました。
【EUと日本の違い】
待遇の違いについて、EUでは「原則認めず、司法判断による客観的正当化事由がある場合のみ認める」と明快。
これに対し、日本のパート労働法では「職務内容・配置などが違う場合は、これらを考慮して不合理な待遇差は禁止」とし、いわゆる均衡待遇の立場に立つ。
●参加者からは、様々な意見・質問が出されました。今の切実な働かされ方や賃金問題を反映しています。
どんな立場に立つとしても、日本の「低すぎる賃金」は明らかに存在し、ワーキングプアといわれる層やダブルワーク・トリプルワークなどの働き方を生み出し、「普通の暮らし」を阻害しています。
同一労働同一賃金の概念をしっかり学び、非正規労働者や女性の低賃金・低労働条件を改善していくことは必須です。(2017.4.17)