●現役自衛官セクハラ国賠訴訟第13回期日と、その後の院内集会とシンポジウムに参加しました。
一連の企画は、自衛隊のハラスメント根絶プロジェクトの一環です。私が傍聴を続けているのは「現役自衛官セクハラ国賠訴訟」ですが、資料の中には、「防大いじめ裁判」の実態や「自衛隊情報本部違法配転・パワハラ裁判」の実態が語られています。いずれも凄まじいいじめが横行し、さらにそれにとどまらない加害者を守り、被害を訴える側を追い込んでいく「自衛隊の文化」が、組織的犯罪を繰り広げています。
※防大いじめ裁判
高裁における本人陳述内容には以下の記載があります。「上級生・同期の人間・下級生からも陰湿ないじめ・パワハラ行為を3年にわたり受け続けることになりました」
概要説明によると、
*2013年4月 入校後待っていたのは地獄のような毎日。指導と称するいじめ:食べきれない量の食事を強要する「食いシバキ」、あおむけ状態で腹を踏みつけられる「腹踏み」など
*2014年4月 被告が原告を自室に呼び出し反省文を強要。提出した反省文は目の前で破り捨てられ書き直しを命じられる
*2014年11月 過呼吸で倒れて医務室に運ばれる。3時間ほど意識混濁で危険な状態
*2016年1月 剣道部の寒げいこで下級生のSが原告を面の上から押して原告を壁にぶつける暴行
*2016年5月 度重なる挑発にこらえきれず、原告はSを木刀で殴ってしまう
*2017年9月 学校から退校処分を受ける
*2019年 元上級生Yと防衛大学校(国)に損害賠償請求訴訟を提訴
*2024年5月 横浜地裁は請求を棄却
*2025年12月 東京高裁、控訴棄却
※現役自衛官セクハラ訴訟の概要
*原告が2010年に着任直後から、ベテラン隊員から「お前本当はチンコついているだろ」「セックスしなきゃだめだぞ」「やらないと乾くぞ」などの発言に悩まされてきた。
*原告に交際相手がいることがわかると「お前、○○(交際相手の名前)とやってんのか」
*2025年1月「○○とやりまくって業務疎かにするんじゃねえよ」「○○とやり過ぎなんだよ」などと繰り返し怒鳴られる。
*原告はセクハラ相談員などにも相談するが、隊長からは「加害者にも家庭がある」セクハラ相談員からは「我慢するしかない」などの言葉が。
*原告は適切な処分とともにセクハラ教育の徹底を求めたところ、組織は、「原告実名」、「加害者匿名」「被害事実の記載なし」の大規模な研修を実施。以来他の隊員からは厄介者扱い。
*2016年1月、たまりかねた原告は、加害隊員の責任を問い那覇地裁に提訴。加害隊員も事実無根として反訴請求。
*組織の法務班は、原告からの相談を一蹴したのみならず、加害隊員に肩入れ、その結果隊員15名が「セクハラの事実はない」という虚偽の陳述書を提出。
更に原告は裁判に組織の文書を提出したとして、警務隊に告発され、検察送致で起訴猶予、訓戒の不利益取り扱いを受けた。原告の名誉は回復されず、昇任は遅れ、訓戒のためにボーナスも減額。
<蟻塚医師の意見書>
原告は今も、不眠や吐き気、フラッシュバックなどの症状に苦しんでいる。加害隊員とすれ違う度に動悸や吐き気が生じ、集中力が低下したり、将来の不安を強く感じている。2024年頃から、施設にいた不幸な男の子を保護する夢を繰り返し見る、自分の命を終わらせたいと感じる、動脈硬化などの症状がある。
<これらに対する蟻塚医師の診断>
①急性ストレス障害とPTSD:自身の生存が脅かされる状態の後に出るのが急性ストレス障害、それが慢性化するとPTSDとなる。
②解離性障害:心に深い傷を受けたことにより自我が分裂。ひどくなると二重人格、多重人格に。
③交感神経興奮状態による過覚醒:線上にいるように常に興奮、時にスイッチが切れたようにぐったりしてしまう。
④複雑性PTSD:拷問や強制収容所などの組織的暴力や長期にわたる家庭内暴力や性的虐待などにより、感情コントロールや人との関係を築くことができなくなる。
⑤総合的に、これらの精神状態による慢性的な心身不調との診断。
<意見書の要点>
①2013年からの加害隊員からのセクハラ直後から、急性ストレス障害のみならず過覚醒や解離性障害の症状が出ている。蟻塚医師は「自我の制御を凌駕する強烈な心的外傷、その結果加害隊員は原告の脳に生涯にわたって消えることのない不可逆的なトラウマを刻み込んだ」と述べている。
②周囲や組織の不作為(被害を自衛隊組織として受け止めていない・労働環境の調整を怠る・医学的ケア行わず)や二次加害と言える作為(被害者実名・加害者匿名のセクハラ研修)により、「加害者2000人状態」となり、原告の症状はセクハラ直後からさらに重くなっている(睡眠障害の悪化・繰り返す「男の子の夢」)蟻塚医師は「強制収容所に匹敵する過酷な環境」と。
●この二件以外に「自衛隊情報本部違法配転・パワハラ裁判」も係争中ですが、長くなるのでこの件は割愛します。
いずれも個別の事案に端を発しますが、組織的対応により二次加害を引き起こし被害者を追い詰め破壊にまで至らせています。国による加害となりますから事は重大です。
被害者の救済、自衛隊の組織の改善は緊急に必要です。その為にも司法の合理的判断を強く求めます。
さらに今後に関わる気がかりです。今、川崎市をはじめとして全国で教育委員会が自衛隊に対し、卒業予定者の名簿の提供を行っていますが、自衛隊で何が起きているのか、この事実を広く知らせなければなりません。人間を度々壊している組織に生徒を送り込む手伝いを自治体が積極的に行う、見過ごせません。(2025.12.18)



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