●川崎母親大会、久しぶりに終日参加。午前中の分科会は西加瀬プロジェクトへ。他地区の方の受け取り具合を見届けたくて。これはまた別の機会に報告。
●午後の全体会の記念講演は、「心豊かに暮らしたい~軍事費より社会保障の充実を」。講師の根本隆さんは神奈川県社会保障協議会の事務局長。以下ポイントです。
1 社会保障とは
* 憲法25条に基づく国民健康保険・国民年金・生活保護などの諸制度。生活保護法第一条は「国が生活に困窮するすべての国民について、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」と明記。
* 介護保険法第一条は「国民共同連帯の理念に基づき」とされ、90年代後半から変質が始まった。
* 民主党政権時代の2012年、民・自・公の3党で「税と社会保障の一体改革」として「社会保障制度改革推進法」を成立させた。
同法は国の責任を、「自助・共助・公助の組み合わせ」による「家族及び国民による相互の助け合いの仕組み」として、国による生存権保障と社会保障制度の責任と理念を否定した。
2013年以降、安倍政権の下で、年金・生活保護・医療・介護などの改悪が連続的に進められた。
* 岸田政権はこれらの延長線上で、財源論・世代間負担の公平論・自己責任論を振りまいている。
2 国民健康保険
* 各市町村が保険者として運営。企業負担分がないため、小学生の子2人の4人世帯で、神奈川県2023年度の保険料を比較すると、協会けんぽ約20万円に対し、市町村国保は30~40万円となる。
* 国保加入者は概して所得が低く、高齢者が多い。保険料を払えない世帯が45%を占めている。
* 市町村国保改善のために、国庫支出金の増額(全国知事会は1兆円の投入を要望)、法定外繰り入れに対する削減・廃止圧力をやめさせる、子どもの均等割りの廃止などに取り組んでいる。
* 75歳以上の高齢者を、個人単位で強制加入させ、従来保険料負担がなかった人や収入がない人からも保険料を徴収する制度。
* 神奈川県の2025年度の一人当たり年間保険料は、106.423円で前年度から11,786円の引上げ。
* 県内後期高齢者は125万6千788人で、所得100万円未満63.2%、所得無し44.3%。
* 75歳以上の医療費窓口負担2割実施に伴う窓口負担増加分を3,000円までに制限する措置が来年9月で終了。この措置の継続を求めていく。
4 介護保険制度
* 2000年にスタート。「家族介護から社会で支える介護へ」を掲げ、①自由な選択によるサービスの利用、②全国一律のサービス、③利用者と事業者の個別契約、を原則とした。
* 11兆円超の「介護保険給付費」の内、負担割合は国25%、都道府県は12.5%、市町村12.5%、被保険者50%。介護報酬引き上げやサービス利用増が保険料増につながる仕組み。
* 27年度には利用料2割負担対象者の拡大、ケアプラン有料化、要介護1と2の保険給付外し、等々の改悪が予定されている。
* 全国平均の介護保険料は2000年スタート時2,911円だったが、第9期では6,255円に。
* 2018年から市町村による「介護予防・日常生活総合事業」が始まった。対象は要支援1と2、今後要介護1と2も対象とすることが検討されている。
* 介護保険制度の改善目指す取り組みを旺盛に!
5 マイナ保険証一元化とは
* 政府は12月2日には紙保健証は廃止し、マイナ保険証に一元化するとしている。現在7%台のマイナ保険証利用率を10月までに50%を目標とし、医療関係者等に猛烈に圧力をかけている。
* 県の市町村国保と後期高齢者医療制度の保険証は2025年7月31日まで有効。紙保健証とマイナ保険証が並立する。
* マイナ保険証を持たない人には「資格確認書」を発行。
* 保険証をなくすなの運動を大きく広げよう!
5 大軍拡許さず、社会保障確立の闘いを
①「人権としての社会保障」をめざす ②当時者の要求に基づく闘い ③共同を大きく広げて
●社会保障が憲法25条から遠ざけられていく過程がよく解りました。あらゆる角度から憲法の形骸化が狙われていますね。今社会保障の本質をしっかりとらえることが大事だと思います。介護保険の変質も甚だしく、「国家的詐欺」というべきレベル。
また「健康保険証の廃止は困る」という声は圧倒的です。この政府の無謀も止めなければなりません!(2024.7.7)
☆第65回川崎母親大会の模様はこちら「川崎母親大会 第65回2024年7月7日川崎市産業振興会館にて (youtube.com)」から。