●「原発ゼロへのカウントダウン㏌かわさき」、久しぶりです。
岸田政権のいきなりの原子力回帰、新規建設を認める、最長60年以上を可能とする、どれもこれも正気の沙汰とは思えません。
そんな中で、川崎の原発ゼロを目指す集会が12回目を迎えました。選挙戦のさなか、メインの舞台しか参加できず、展示や模擬店での皆さんとの交流ができず、残念でした。
●ゲストは金子勝さん(経済学者)。率直な言葉が次々飛び出します。
「ドイツでは、2022年には再生エネルギー法を決め2035年には再エネ100%を目指している」それに対し「日本は、安全性とコストを無視した政府と電力会社と原子力村により、まだ原発にしがみついている」と。
こんな「未来がない国だから、少子化は必然だ」(もちろんこの現状を変えなければと言外に語っているのですが)と。
●特別講演は、北村賢二郎さんという「福島県の子ども甲状腺がん裁判」の弁護団の方。この裁判の実態を初めて聞いた私には、印象が強烈でした。
事故当時、福島県内に居住していた7人が、事故に伴う放射線被ばくにより甲状腺がんを発症したとして、東京電力に損害賠償を求めています。
原告は事故当時6歳から16歳。7人のうち4人は甲状腺を全摘せざるを得ず、進学や就職にも大きく影響しています。手術を2度、3度という方もいます。
小児甲状腺がんは、100万人に1~2名といわれる病気ですが、福島の最新の調査では326人の発症。(この発症率については明らかな数字は示されていません。講演では「38万に300人」と聞こえましたが、人口は38万人ではないし、子ども人口なのか、はっきりしません)
因果関係は成り立たないと東電は言いますが、被爆した地域と他地域とを比較した相対危険度(小児甲状腺がんが通常より何倍多発しているかを算出)、及びその差から割り出した原因確率は95%~99%と非常に高い数値を示していると、弁護団はデータを示しています。
●驚くべきことは、この被害者が差別を受けているということです。
「裁判は復興を妨げる」と悪しざまに言われたり、「お前の息子は原告か」と恫喝を受けたり、との報告には怒りを覚えました。なぜ被害を受け、肉体的にも精神的にも傷ついている人たちに、このような悪意に満ちた言葉が投げかけられるのでしょうか。なぜこんな二次被害に遭わなければいけないのでしょうか。患者が300人を超えていながら、原告が7人しかいない理由がこれでした。
かけがえのない時代を奪われてきた被爆時6歳~16歳の子どもたち、重大な病だけではなく、こんなあらぬ苦しみを負わされていると思うと胸が締め付けられます。
原発ゼロを願う眼差しは、こんな不条理とも闘います。(2023.3.12)