●教育委員会は、県立高校定時制6校の募集停止を発表しています。上野・大山県議・木佐木前県議とともに、その対象の一つ翠嵐高校を訪問しました。
私たちは、委員会当日に募集停止案が発表されたことに対して、県民の意見や議会の議論を踏まえるべきと決定を先延ばしすることを求めましたが、10月25日の委員会協議で決定してしまいました。
●教育委員会は、翠嵐高校を26年度から募集停止とする理由として、交通の利便性がよい東神奈川にある神奈川工業高校に移すとしています。
でも、長年翠嵐高校定時制で教師を務めてきた方は、「交通の便が悪いという声は聞いたことがない。ターミナル駅である横浜から徒歩20分、バスで12分、バス停は学校の前。東横線に限られる神奈川工業高校が利便性で勝るとはいいがたい。経済的にバス代を節約して横浜駅から歩く生徒も多かった」と。(確かに要覧によると、電車と徒歩の生徒が一番多く57人でした)
私達はそれも確かめるべく横浜駅からスタートしました。確かに12分ほどで到着。バスを降りて正面の伝統を感じさせる門をくぐりました。構内は時間の経過を感じさせる樹木がたっぷりと茂っていました。不思議な懐かしさを覚えながら「学校ってこういう雰囲気だったなあ」などと思いました。
●概要の説明を受けました。
定時制普通科は1964年に設置され、1985年頃はおよそ400名の生徒が在籍していたそうです。でも減少を続け、今年度の在籍は113名。1~3学年までがそれぞれ3学級、4学年が2学級です。3年で卒業することも可能なシステムとなっています。
約6割が外国につながる生徒です。
●ここは外国につながる生徒が多いことから、その支援が充実していることで定評があります。手厚い日本語教育が生徒の学習権を保障してきたといいます。
教育委員会は、神奈川工業高校に移っても、その内容を引き継ぐといいますが、「時間をかけて作り上げてきた支援体制を別の学校で一から作り出すのは容易ではない」と、これは神奈川新聞の取材を受けた18年間の勤務経験を持つ方の弁。
●最初に日本語入門1の教室を見せていただきました。「会話はわかる」という程度の初級者を対象としています。数人で先生を囲み、熱心なやり取りが行われていました。
現代国語と世界史Aの授業も見せていただきました。ここも日本語を母語とする生徒はいませんが、結構難しい内容を扱っているなと思いました。
いずれも一桁の少人数。40人規模クラスの通常の学校とはまったく違った風景でした。
日本語能力検定指導員の資格を持った先生たちが指導に当たっています。熱意が伝わってきます。
●午後4時45分から9時まで(月曜はHRがあるので9時40分まで)の授業、定時制の生徒にとって、食堂も大切です。
食堂が設置され夕定食が提供されています。全日制の生徒も、食事の提供なしで昼間使用しているとのことです。
●温かい雰囲気の中で学校が運営されていることを感じました。ハード面はもちろんソフト面でも、様々なことを経ながら根付いてきたと思わせることが多くありました。
学校などは特に生徒集団、教職員集団が織りなす実績ですから、仕様書などですんなりと引き継げるものではないことを歴史ある校舎は物語っているようでした。(2022.11.22)