今定例会の一般質問は大山議員。取り上げた内容を新しい課題を中心にお知らせします。
●性暴力に対するワンストップ支援体制について
痴漢を初めとした性犯罪・性暴力に対し、相談体制の強化、ワンストップ支援センターの増設、機能強化などを求めました。
【知 事】 県は平成29(2017)年に「かならいん」を設置し、被害者からの相談を24時間体制で受け付け、県内66の登録病院と連携し、必要に応じ緊急避妊等の医療的な処置を行うなどワンストップで支援している。来年度には湘南鎌倉総合病院と連携し、被害の証拠を採取する新たな取り組みに着手する予定。増設は考えていないが、かならいん機能を強化していく。
●痴漢防止対策について
1月実施の共通テストを狙って「受験当日は、(時間的余裕が無く)警察に通報されないから大丈夫」と、ネット上で痴漢行為を呼びかける「痴漢祭り」と言われる書き込みがあります。これに対し、大山議員は県警に対応を求め、警官が乗車して警備する、駅頭に立つ、鉄道各社に注意喚起の放送を依頼する、等を実現。
これらの実績を基に恒常的な被害者を生まないための取り組みを求めました。
【知 事】 県警察が行っている痴漢被害防止対策などを「神奈川県犯罪のない安全安心まちづくり推進協議会」で共有し、犯罪被害防止に向けた啓発活動等に引き続き取り組んで行く。
【警察本部長】 警察官による乗車しての警戒活動のほか、被害者と同乗しての警戒活動等、また痴漢の目撃者が傍観者にならないようにする啓発活動も行っている。被害者の心情に配慮した対応も心掛けている。鉄道事業者とも連携した広報活動を行っていく。
●リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を尊重する包括的性教育について
国際機関などでは「包括的性教育」を推奨しています。日本の従来型の生植機能や性感染症に特化した教育ではなく、自身の尊厳や他人を尊重することについて包括的に学ぶことが必要です。
秋田の例では、性教育講座を全校的に行い、教員には指導者研修会、PTAでも情報共有を行うなどの取り組みにより、人工妊娠中絶率が大幅に減ったとのことです。
子どもたちを性暴力から守り、自分も他人も尊重できる包括的な性教育を行うべき。
【教育長】 生徒が性に関する科学的知識や、自ら判断し望ましい行動をとることができる力を身に着けられるよう、発達段階に応じた指導を行うことが求められている。
現在、教員向けの性教育指導の手引きについて、外部の意見を聞きながら改定作業を進めている。ここでは性に関する指導に加えて、人権を尊重する視点や性犯罪・性暴力の当事者にならない視点など多面的な指導事例を盛り込み、学校でのお指導に活かしていく。
●介護保険制度における補足給付の見直しについて
介護保険については、保険料初め負担が増え続けています。昨年8月からは特定入所者介護サービス費(補足給付)の改悪が行われ、非課税世帯に当たる低所得層の内、年金収入が120万円超の施設入所者について、食費の自己負担限度額を現行の1日650円から1360円に引き上げます。月額で2万2千円の負担増、神奈川県では1万にもの人が該当します。これでは入所自体を諦めざるを得ない等の声が上がっています。
補足給付見直しによる対象者の実態を調査し、国には補足給付のあり方を元に戻すよう求めるべきです。
【知 事】 知事安定的に介護サービスを提供するために、国では、利用者の所得や資産に応じた負担をお願いしている。補足給付の今回の見直しは在宅高齢者との公平性や介護保険制度維持の観点から行われたものと理解しているので、国に制度を元に戻すよう要望することは考えていない。調査については、市町村に対する他のアンケートの中で確認していく。
●他に「同性パートナーシップ制度について」「若者の学びを支える県営住宅の家賃減免等支援について」「高齢者の日常生活や社会参加を支える補聴器購入補助について」などを取り上げました。
●痴漢対策や「かならいん」強化も進みましたが、性教育については貴重な前進です。人権を根づかせ、自分も他者も尊重するという学びの基本の一つだと思います。同時に性犯罪や性暴力を許さない力だと思います。
一方で、補足給付の見直しについて、国と同じ言葉を繰り返し、国に元に戻すことを求める考えはないと明言する知事の冷たさ。補足給付見直しがどんな困難を及ぼしているか、自治体の責任者として心を寄せることが何故できないのでしょうか。(2022.2.22)