●JFEスチールというより、日本鋼管という方が、私はぴったりくるのですが、2003年からこの呼び名となっています。この会社が、高炉を休止すると発表したのが3月。
OBや地域の労働組合など関係者で「JFEスチール京浜の高炉休止に反対し職場を守る会」が7月9日に結成されています。私もオブザーバーで参加しています。
●8月19日は横浜市に、20日は神奈川県と川崎市に要請行動を行い、記者会見も行っています。
知事あての要請文には、★高炉休止に伴う関連企業含めた雇用への影響、地域経済への影響を調査すること。国及び関係自治体と連絡調整の機関を立ち上げること。★JFEスチールに高炉休止の見直しを働きかけること。★労働者の雇用確保、関連企業の事業継続に取り組むこと、などが盛り込まれています。
受け取った産業部長の「企業の経営判断ですから」との言葉に、参加者からはすぐさま反論が。その通りです。企業の一方的判断が絶対なのではなく、自治体として住民や地域の立場からの判断を大企業に働きかけることが必要なのです。
●23日には、川崎駅で宣伝行動を行いました。
製鉄所にとって高炉休止は、その工場の廃止に繋がります。JFEスチ-ルは一時的な赤字(2019年決算で87億円の赤字)となりましたが、2018年度で1兆9500億円もの内部留保を積み上げています。
一方で高炉廃止に伴い、1200人の従業員は配置転換(実際には遠隔地の配転に応じられず職場を失う人が多い)とされ、関連企業2000人、出入り業者8500人の仕事を奪いかねません。地域経済への影響も甚大です。
●企業には社会的責任があります。それまでに国・自治体などから様々な支援も受け、地域との関わりも大きく、消費者に支えられて発展してきたのです。そして何より、労働者の技術によって利益を生み出してきたのですから、短期的な利益追求の判断のみ優先し、労働者と地域を放り出すことは許されません。
いま日本のものづくりが問われているのです。鉄鋼の最大の需要産業である自動車や電機産業が、コスト削減を求めて海外に生産を移す中で産業の空洞化も進み、鉄鋼需要も落ち込んでいるのです。国内生産を改めて視野に入れなければ、日本の産業は未来を描けません。
とりわけ製造業は、長年培われた技術や研究開発能力を海外に流出させることは、ますます国際競争力を低下させ、取り返しのつかない損失を招きます。
●これらを宣伝の中で私も訴えましたが、事態は深刻です。コロナ禍の下で経済の低迷を余儀なくされている今こそ、国内需要を喚起し、国民の購買力を生み出していくことが必要です。それぞれの企業が、長期的視野を持ち、国内で価値をつくり出す必要があります。
それを促し、産業の発展や住民の暮らしを支えていくのが、国や自治体に求められる役割ではないでしょうか。(2020.8.23)