●18日の最後に質問したのは、内部通報制度の運用について。
この制度は、運用の検証が極めて困難な制度となっています。
次の各項目について聞きました。
これらの質問は、個別のことには一切触れることができない中で、問題点をあぶりだすための苦心の質問です。
●(1)2016年度~2019年1月までの内部通報件数、及び外部調査員からの指摘に依らず、独自に再調査を行った件数。
(2)同様の条件で、証拠書類の提出を求めた件数。
(3)同様の時期で、外部調査員の判断により再調査に至った件数。
この間の通報件数は22件。それについて再調査、証拠書類、外部調査員が行う再調査、いずれもゼロ。調査がどれほど慎重に行われているのか、適正に行われているのか、検証が必要なことを指摘しました。
●(4)同様の時期で、通報者と被通報者が同一の場所・近接した時間帯で行われた調査件数。これもゼロとの答え。(でも私は、ほぼ同じ時間帯で同一場所=つまり通報者が誰であるかわかってしまう条件で調査を受けたとの訴えを聞いています)
この質問をしたのは、通報者の保護が適正に行われていないと思うからです。
そもそも、内部通報は、上司の行為に対して行われることがどうしても多くなります。逆の立場の場合は、職制上で修正することが可能だからです。
私が相談を受けた例でも、その部署の責任者が、被通報者つまり問題となる対象者でした。このケースでは被通報者を介して、通報者調査の連絡が行くような状態でした。これでは通報者が誰か、容易に特定されてしまいます。
通報者の保護のために、どれほど細心の注意が必要かという事を指摘しました。
●(5)私が聞き取りの過程で、「通報者と私がいるところに、行政課の職員が同席したら、それだけで秘密を漏らしたことになる」という説明を度々聞きました。「同席」だけでは、私は何の情報も得ていませんから、この構図は到底成り立たないと思いますが、この説明の根拠を問いました。
これについては、「同席は控えさせていただく」との一般的な答えで、「秘密を漏らすことになる」根拠は示していません。これは重ねて問いましたが、答えは得られませんでした。
答えられないのであれば、こんな稚拙な説明で同席を拒否することなどすべきではありません。
●(6)通報内容と調査結果が仮に違った場合でも、通報者である職員の意思を尊重しながら、公正な調査が行われたならば、制度への最低の信頼性は保たれると思います。
ところが現状はそうはなっていません。逆に通報者が疎んじられ不利になる事態さえ生じています。(今回のケースでは、人事評価が下がっています。)これでは活用もおぼつきません。
内部通報制度を有効な制度として成り立たせるために次の必要性を指摘し、当局の認識を問いました。
第一に、調査の透明性を確保すること。第二に、通報者の保護を的確に行うこと。第三に、通報内容が妥当であった場合には、被通報者に対して相応の処分等を行うこと。第四に、運用の検証を実質的に保障すること。
これについては、現状の制度の説明にとどまりました。この運用の下で、起きている諸問題には何ら答えてはいません。様々な制度が当初の趣旨に添ったものになるための困難な作業が、まだまだ続きます。(2020.3.18-2)