●1月30日、憲法改悪阻止神奈川県連絡会議(神奈川憲法会議)に同行し、神奈川県教育庁(教育委員会)あての要請書を提出しました。
要請の内容は、(1)日の丸の掲揚及び君が代の斉唱を行わないこと (2)日の丸・君が代に対し起立や斉唱を行わない教職員に対して調査や処分を行わないこと (3)式典に参加する児童・生徒・保護者・来賓に対し起立や斉唱を促さない ことです。
要請に対し、教育委員会担当者は、「教育委員会に報告します」で終わり。
●私は、教育委員会の関与について、概ね次の内容を質問。
Q「学校に対して調査を行っているのか」
A「行っている」
Q「どのような調査項目か」
A「国旗を掲揚したか、掲揚の場所は、君が代を斉唱したか、教員は起立・斉唱したか、伴奏はどのような方法で行っているのか」
Q「その調査は教育委員会への報告を求め、それに基づき処分・指導などを行っているのか」
A「指導を行っている」
Q「どのような方法で行っているのか」
A「教育委員会指導主事が学校に赴き学校長とともに、当該の教員に指導をする」
Q「その指導の根拠は何か」
A「学習指導要領である。儀式的行事にふさわしい態度を生徒に示す必要がある。相応しい態度を取れない教員は職務規律という点で問題となる」
●1989年改訂により「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」とされた学習指導要領は、憲法違反ではないかと、私は思っています。「国歌を斉唱するか否か」は、思想・信条の自由の範囲内だと思うからです。
その点から、斉唱しなかった職員に明らかな不利益を強制した東京都教育委員会の処分は行き過ぎだと思っています。この処分については、最高裁で明確な憲法違反の判断はなされませんでしたが、裁量権の逸脱があり違法とされているところです。
●これらに照らすならば、学習指導要領の記載があるとはいえ、教員に対する「処分」はもとより、「指導」がどこまで妥当とされるかは、大いに議論の余地があるところです。その状況の下で、神奈川県教委が個別の教員に対し指導まで行っていることが、私には重くのしかかります。
●あまりにも扱いが通り一遍だったため、私が「教育委員会に報告して、委員会は『アーそうですか』で終わりですか?」と聞いたところ「まあ…」が答え。お粗末すぎます。
この要請に同行するのは初めてだったため、このお粗末さについて、性急にこの場で議論することは控えましたが。
要請書は、要請項目とともに、1999年成立の「国家・国旗法」が尊重義務規定のない法律であること、憲法19条の「思想及び良心の自由」を侵害するものであることなどが記載されているのですから、少なくともこれらにどう応えるのか、そして要請をどう扱うのか議論すべきです。
●20代の要請参加者が「自分は、高校生の時、何も知らずに歌っていた。事情や背景を知ると歌ったことがとても気持ちの悪いことに思えてしまう」と発言していました。このような思い、さらに、意に添わなくても生活がかかっているから従わざるを得ない教員もいることを、教育委員会は受け止めるべきです。
何にしろ、「天皇の世がいつまでも続くように…」という歌は、民主主義を教える学校の場で、あまりにもふさわしくないのですから。(2020.1.30)