●教職員後援会新春のつどいで、変形労働時間制について、たっぷりと学ぶことができました。
昨年12月4日安倍政権は、多くの反対の声を押し切って、公立学校の教員を「1年単位の変形労働時間制」で働かせることを可能とする改定給特法を、強行成立させました。今後、制度の導入は各自治体の判断に委ねられます。
●まずこの制度の本質的な問題点を。
*長時間労働の解消となる方策は何一つない。
*8時間労働は、人間的生活の最低限を保障する大原則。平日の拘束時間を延ばすことは、この原則を崩す。
*労働基準法では、変形労働時間導入には労使協定を必要としているが、今回は条例主義を採用。
●派生する問題点は。
勤務時間と休日を30日前に決めなければならず、決定した休日の変更や割り振り変更ができない。
その結果休日放棄をした場合、事故が起きた時など公務災害対応が困難。また生徒の事故に関わる国家賠償法の対象にもできない。
急な対応を求められる学校職場においては非現実的。
●制度導入や運用上の条件が、国会の質疑などを通じて下記のように。
*恒常的な時間外労働がないこと。
*制度適用の職員は、残業月45時間という国のガイドラインを遵守すること。
*勤務時間の延長日は、時間外勤務は不可。
*これらの要件を遵守できなければ、教育委員会は、変形労働時間制活用の指定を取りやめる。
●その他、留意すべき国会答弁。
*公立小中学校の場合、各学校で検討のうえ、市町村教育委員会と相談をし、市町村教育委員会の意向を踏まえた都道府県教育委員会が、改正後の給特法や文部科学省令、指針などを踏まえて条例案を作成。都道府県議会で成立の上、この条例に従って、学校の意向を踏まえ、市町村教育委員会が、導入する学校や具体的な導入の仕方を決定することとなる。(丸山文科省初等中等教育局長)
*導入に当たっては、各地方公共団体において、職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるもの(中略)今回の制度を活用する対象者を決めるにあたって校長がそれぞれの教師と対話をし、その事情などをよくくみ取ることが求められております。(萩生田文部科学大臣)
*各学校の意向を踏まえずに、都道府県が一律に条例で強制しても何の意味もない(萩生田文部科学大臣)
●条件や国会答弁を知れば知るほどメリットがないだけではなく、余計な手間が増えるばかりだなあ、と。
休日の確保は変形労働時間制を用いなくてもできます。(岐阜市や横浜市で、既に行っています)
また、一日の所定労働時間を増やすことにより、さらなる長時間労働が生じやすくなります。
本当に百害あって一利なしの制度であることを実感!
やはり、長時間労働を解消するには、教師を増やすしかない! (2020.1.18)