●今期2回目の常任委員会は、県教育委員会の事業概要の説明が主。これは特段のやり取りを想定していません。
これに加えて急遽報告されたのが、「川崎市多摩区登戸新町における死傷事件について」です。これは、文教常任委員会とともに、防災警察と厚生の常任委員会でも報告されています。
防災警察は当然として、厚生は私学振興課という私学を所管する課が含まれているからです。
●大きな傷を残したこの事件は、5月28日朝のことでした。20人が死傷。内2人が亡くなりました。
県の対応報告の概要は次の通りです。
1.カリタス小学校への支援【スクールカウンセラーなどの専門家を派遣し、児童・保護者の心のケア等実施】
2.事件の被害者・家族への支援【「神奈川犯罪被害者サポートステーション」が、被害と家族の希望に応じた法律相談等を実施】
3.県内私立・公立学校への安全確保の依頼【県内公立学校に対し、県警本部からの要請含め3度の依頼。県内市町村教育委員会に対し、県警本部からの要請含め2度の依頼】
4.今後の対応【引き続きカリタス小学校への必要な支援を行う。関係機関と連携しながら、通学時における児童生徒等の安全確保の徹底を図る】
●これらの対応は必要とはいえ、今回の事件は、当面の対応だけで済むものではないと思います。
委員会でもこの事に触れました。
再発防止は、警察的な対応だけでは限界があります。この加害者を生み出す社会を考えない訳に行きません。
私がこの点に触れた時、他の会派の数人から、失笑とも揶揄ともとれる反応がありました(多分、「共産党は何でも政治のせいにする」というような揶揄だったのだろうと思います)。質問順が最後である私が、この事を口にするまで、このような言及はありませんでした。
●社会のあり方という点では、家庭状況、学校生活、長じて就業状態など、どのステージをとっても困難にさらされている事例は、以前より増えていると思われます。これらへの検証抜きに、防犯だけで解決する問題とは思えません。
この事件に限らず、日本社会の現状が絶望感や怨嗟を生み出している事例は、少なからずあります。直接的な原因とはなっていなくても、育児が困難な家庭、いじめや孤立を多発させている学校、本人の努力を超えて就職が困難だった年代、今も一方で過酷な働き方を強いられる、まさに自暴自棄の状態に追いやられる人がいても不思議ではない状況があります。これらは、自己責任では解決ができないことが多くあります。
●私はこの点から、教育委員会でいえば、生徒の立場に立った教育の場の確立、教師にゆとりを取り戻す、改革ありきではない生徒本位の学校のあり方を求める努力が望まれる、と求めました。
人間性を育て、自己肯定感が持てる発達・成長の場を確保することは、誰しもが望むところではないでしょうか。(2019.6.11)