●「小杉はずいぶん変わったね」とか「便利になったね」と言われることが結構あります。褒め言葉に近いことが多いのですが、私はその度に「住んでいる人は本当に困っています」と答えます。
この10年で超高層マンションが17棟建設され、約7000戸2万人の住民が増えました。さらに6棟の建設が予定され約1万人の人口増が見込まれます。小杉の特徴はこの全てが駅周辺に集中していることです。
学校・保育園等の不足、駅の大混雑、青空・日照が奪われているのは固(もと)よりビル風の被害は甚大です。風害による転倒骨折などが続いています。私もひどい時は自転車ごと倒されそうになります。ここに車でも通ったら・・と思うとぞっとします。
●「小杉・丸子まちづくりの会」初め、市民は粘り強く反対の運動を続けていますが、川崎市は全く聞く耳を持たず、規制緩和を繰り広げ再開発事業を最大限誘導しています。
1989年に制度化された再開発地区計画(現在は再開発促進区)の下で武蔵小杉はほんろうされ続けています。
従来容積率200%の地域が再開発促進区となれば一気に400%に引き上げられ、さらに様々な貢献内容を勘案して決定されるとする加算容積率200%を見込むと600%が可能となってしまうのです。200メートルのビルが出現します。
400%分の建物は土地代ゼロで上乗せできます。開発業者は莫大な利益を手に入れることができます。
川崎市は、さらに低炭素都市づくり、コンパクトシティなどを標榜しながら規制緩和を繰り広げています。
●12月3日、川崎市議団が岩見良太郎先生に委託した「川崎市の低炭素都市づくりに関わる調査研究」の報告が行われました。
私達住む者の「低炭素都市づくりどころか、環境破壊そのもの」という実感が各種データで示されました。中原区では中心部・周辺部ともに人口・CO2発生量ともに増大し、中心部再開発がその要因ともなっていることが示されました。他市・他県からの流入を含め、コンパクトシティの要件も全く満たしていません。川崎市の論理は破綻しています。
私が最も許せないと思うのは、開発業者が儲けに群がるのは(100歩譲って)本能だとしても、住民のために存在する自治体がその露払いをしている事です。長年住み続け、税金を払い続けてきた住民をの声を一顧だにしない事です。
福田市長が選挙直後の住民との対話の場で、超高層ビルの被害を訴え方向転換を求める住民に言い放った言葉が忘れられません。「あなた達とは平行線ですから、話し合っても無駄です」と一言も受け付けませんでした。
多くの住民が生活上の切実な声を寄せている、市長はその苦労に寄り添うのが第一歩です。市長が言うところの「平行線」の一方は一体どこで形作られた線なのか。
人口減少時代に突入し、空き家率も高まっています。オーナーに投資家や外国人も含むこの超高層マンション群、建て替えの技術も確立されていません。数十年後の悲惨な姿もしばしば語られます。
異常な街づくりを正さなければなりません。(2016.12.3)