「国鉄東京OBうたう会wadachi おじさんたちの1stコンサート」が開かれました。
歌は心を揺さぶりますが、労働者の歌声はとりわけです。さらに私にとって国鉄労働者は学生時代から労働者の象徴ともいうべき存在でした。あのなっぱ服の人たちとうたった情景も忘れられません。
国鉄労働者が日本の労働運動をけん引していた時代も浮かんできます。
資本主義の下で、労働は命を奪ったり苦痛そのものであったりしますが、本来的には労働は人間的行為であると思います。生きていくために対象に働きかけるという人間を他の生物から分かつ本質的行為です。原初的には物を作り出す喜びも人間は知っています。
国鉄労働者が、機関士や車掌のみならず保線区や操車場や信号区でどれ程愛着を持って電車を動かしてきたか。「俺は枕木」「俺のハンマー」を聞きながら、実感しました。「労働は人間にとって愛情と誇りの対象だった」と。
合唱団のメンバーが現役労働者だった頃の姿さえ浮かんできました。胸が熱くなりました。
「止めるのは俺たち」ベトナム戦争の頃うたわれました。労働者は平和を守ります。「人間として労働者として」国鉄分割民営化の下で解雇とも戦った彼ら。人間としての叫びだと思います。家族の苦闘も思い起こされました。涙が止まりませんでした。
そしてこの熱い思いは現在とも重なります。JALの人々、資生堂のIさんたち、かなフィルのSさん・Hさん、やまゆりのIさん・・・仕事を愛してきた彼らから正当な理由なく職場を奪う人たちへの怒りを新たにしました。生活の糧を奪うだけではなく、人間の誇りを奪うのですから。(2015.11.28)