●教員不足について、やや突っ込んだ議論をすることができました。県の教職員連絡会の主催の学習会で、講師は佐久間亜紀慶応大学教授。ポイントだけ紹介します。
●「教員不足」再定義
佐久間研究室では・・・「各都道府県・指定都市等の教育委員会において、学校に配当することとしている教師の数が、正規雇用教員で充足されていないために、実際に学校に配置されるべき教師の数が不足する状態」
●未配置の実態
*どの学校種で未配置が深刻か・・・特別支援学校の未配置が最多
*どの教科で未配置が深刻か・・・国語とともに美術・家庭課などで未配置率が高い
*教員不足の原因は・・・第一次未配置(正規教員採用後の未配置)が大きすぎること。臨時的任用の候補者が少ないことではない
*なぜ4月に正規雇用共教員が不足するようになったのか・・・教育委員会が少子化を背景として教員過多を危惧し、新規採用数を抑制。だが35人学級や30人学級が実現すれば教員需要は減らない。世界の平均学級規模は20人
●X県の例
*応募者数の減少傾向・・・2012年小学校4.82倍、中学校8.19倍 ⇒ 2021年小学校3.23倍、中学校4.90倍
*退職者数の高止まり・・・20代・30代の教員が毎年100名以上自己都合退職。2019年度末自己都合退職120人の内、48%(58人)が他県の教員に(出身県での採用も)。
*再任用辞退者の増加・・・小学校で39%、中学校で57%しか再任用を希望しない。
*産休・育休者の増大・・・大量退職による世代交代の結果、育休などの該当者増加。
*休職者数の高止まり・・・精神・神経系の休職者の増加。
*学校現場への影響・・・教員が不在教員の仕事を無償でカバー、正規雇用教員の仕事量の増加。
●国に求める対策
①不足実態の把握
②教員定数改善計画(2006年以降行われていない)の再開(採用数の見通しを持てるようになる)
③少子化時代の義務標準法の改善・・・係数「乗じる数」の改善=級外の先生の定数を増やす・スタッフ(スクールカウンセラー等の増員・常勤化)の基礎定数化
●自治体に求める対策
①病気休職者を減らす(早めのサポート)
②育休復帰支援(定時退勤・部分休業など)
③囲い込みをやめる(都道府県ごとに奪い合うのではなく、オールジャパンで教員を育成する方向へ。不足教科教員養成系大学・学部の定員を再検討する必要あり)
●教員不足問題はなぜ大事か
①教員数の確保は教育政策の一丁目一番地
②子どもの学習保障に関わる問題
③あらゆる公教育問題に関わる領域横断的な問題
④子どもだけではなく社会全体に関わる問題
⑤教員不足にどう対処するかはこれからの日本社会を占う
●頷くことはたくさんありました。また議員当時度々当局に求めていたことの裏付けにもなりました。「教員不足は、教員正規採用抑制策の弊害」など我が意を得たりとの思いで聞きました。
現状を早急に正さなければ、教員の仕事はますます忌避されるようになり、子どもの学ぶ権利は侵害されていきます。これでは社会の未来は語れません! (2025.4.25)