●第三水曜日、定例の県庁前宣伝を行いました。知事が何も答えないまま16回目となります。炎天下となりましたが、受取良好です。
この日は宣伝行動の後、知事室に「性暴力を許さない社会をめざす要望書」を提出しました。回答は来月の第三水曜日です。
少し長いですが、最後の要望事項だけでもお読みください。(2024.7.17)
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2024年7月17日
神奈川県知事 黒岩祐治殿
黒岩知事の人権侵害を無かったことにできない女性たちの会
性暴力を許さない社会をめざす要望書
私たちは、黒岩知事が不倫相手に行った11年間の行為は、黒岩氏の本質をなすものであり、神奈川県行政の責任者にはふさわしくないと考えています。
質問状をはじめとし、知事に自らの行為についての認識を度々問いましたが、知事から返ってきた言葉は、「仕事でお返しします」の一言のみでした。
県民の問いに答えないとても不誠実な態度ですが、知事の言葉がどれほどの真実を語っているのかを検証するとともに、県政を前に進めるために要望書を提出します。
要望に先立ち、女性差別撤廃委員会(CEDAW)が求めている内容を提示します。
女性差別撤廃条約が国連で採択されて45年、日本は1985年に批准しましたが、さらに条約の効力を高める選択議定書の批准が求められています。
CEDAWは1989年に一般勧告19号を採択し、女性をハラスメントと暴力から保護することを求めています。その中では、差別的な固定観念を増殖し、女性や女児に対する性暴力を助長するポルノ・ビデオゲーム・アニメの製造と流通を規制するため、法的措置や監視プログラムを効果的に実施すること、ポルノ映画の制作を手掛ける組織を対象とした性的搾取を防ぐための監視と査察のプログラムを強化すること等を求めています。
現在、性暴力を助長する商行為は多く散見されます。その大きな要素となっているアダルトビデオとポルノ雑誌等については、以下のような状況にあります。
1 アダルトビデオ(AV)の制作は、児童ポルノを除き合法とされていますが、今日では実際に性交が行われています。
AV撮影時、出演女性は「対償」を得て、「不特定の相手方」と性交しなければならず、売春防止法が禁止する「売春」そのものです。
実態としても、AVに伴う被害は深刻です。
制作段階においては、脅しや騙しによりAVへの出演や演技を強制される被害、また過激さを求め危険な行為を強いられる被害等が生じています。
消費段階においては、AVが頒布されることにより、職場・家庭・その他の場においてAVの視聴や模倣行為を強要される被害が生じています。
さらには、AVが広く流通することにより、女性の地位の低下、女性の性的商品化や性犯罪も増幅されています。
2022年に、「AV出演被害防止・救済法」において契約の厳格化が図られましたが、「性交契約」を合法とし性売買を許容しており、問題解決には至っていません。
2 女性・子どもを含め多くの人が利用するコンビニにおいて、女性の尊厳を貶め、暴力性を煽る写真などが当たり前のように陳列され、買われています。コンビニから姿を消したはずだった「成人誌」が再び増えています。
暴力性を伴う欲望・嗜好を刺激する見出しや写真が多用されていますが、これらが「子ども漫画と同じ棚に置いてある」「子どもがこれらの雑誌を見ている」などの声が寄せられています。
女性からも「自分が辱めを受けているような気持になる」「いたたまれない」という苦情が出ており、環境型セクハラの状況も呈しています。
3 科学警察研究所が、強姦や強制わいせつの容疑者を対象に影響調査を実施した結果、33%が「AVを見て、自分も同じことをしてみたかった」と回答し、少年についてはその割合が49%に上っています。
性的メディアに接する頻度が高いほど性暴力行動への是認度が高い、という研究者の報告もあります。
ちなみに神奈川県内の不同意わいせつの発生状況は、警察に届け出があっただけでも、神奈川県警発表で2021年305件、2022年338件、2023年377件と増加を続けています。
現在、①青少年への悪影響 ②女性に対する人権侵害 ③性犯罪の誘発 などが生じています。雑誌に対する規制は慎重さが求められるとはいえ、これらの実害が放置されていいはずはありません。神奈川県青少年保護育成条例に基づく措置の強化とともに女性の人権侵害という観点からの対応も求められています。
4 コンビニなどの陳列の是正は、当面の対応として必要ですが、インターネット上のアクセスも多くなっていますから、ゾーニングで問題解決とは言えません。
子どもが性情報に触れた際の疑問や不安を安心して相談できる環境づくり、人間や性を大切にする視点、差別や暴力のない社会をつくるという視点を子ども自身に育てることが必要です。
同時にAV・雑誌等においては、「売るためになんだってやる」と言わんばかりに女性を商品化し、刺激を求めて性を暴力的に扱う製作者側の意識変革も必要です。全世代にわたる包括的性教育が必要なゆえんです。
これらの状況から、以下を要望します。CEDAWが求める水準をふまえ誠実に対応されることを求めます。
記
1.AVにより生じている人権侵害に歯止めをかけるため、以下の項目に沿った「包括的ポルノ被害防止法」の制定を求める意見書を、国に提出すること。
①制作段階においては
・実際の性交を禁止すること。
・生命・身体に重大な危険を及ぼす行為を禁止すること。
・心身の安全・健康に悪影響を及ぼす行為を禁止すること。
②流通段階においては
・出演者の権利侵害を伴うAVについては、販売差し止め、ネットからの削除義務を課すこと。
③消費段階においては
・AV視聴及び模倣行為の強要は、強要罪、強制性交・強制わいせつ罪に当たることを明記すること。
・特定のAV視聴後に、AV内で行われていた社会的に許容しがたい特殊な性行為や虐待行為を強要された場合、AVメーカーの「製造物責任」を問える内容とすること
2 いわゆる「成人誌」について、次の対応を図ること。
①コンビニ等公共空間類似の場所においては、ゾーニングが徹底されるよう立ち入り検査等を強化すること。権限を委譲している政令市等に対しても同様の強化を促すこと。
②女性への人権侵害を防止するという観点からも、成人誌などの陳列には配慮が求められる。青少年保護育成条例だけではなく、女性行政にも位置付けること。
3 性暴力被害について、かならいんの取り組みをはじめとし神奈川県として把握している実態を踏まえ、性暴力被害者への支援等を強めること。
4 2009年にユネスコがまとめた「国際セクシュアリテイ教育ガイダンス」に示された内容を保障する「包括的性教育推進法」の制定を国に求めること。同時に神奈川県において包括的性教育の一層の拡充を図ること。
5 差別撤廃条約に関する「一般勧告第19号女性に対する暴力(第11回会期、1992年)」についての知事の見解を、明らかにすること。
以上