君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

危険がいっぱい、こんなデジタル化を国民は望んでいない |君嶋ちか子|神奈川18区|前県会議員

2023年12月1日

●私が事務局に所属しているNPO法人かながわ総研と神奈川自治体問題研究所共催のセミナーを開催しました。テーマは「デジタル社会と自治体」。

講師は龍谷大学法学部教授の本多滝夫氏、行政法学、地方自治法学が専門です。

●<デジタル社会とは>

「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報または知識を世界的規模で入手し、共有し(略)電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することによりあらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう」(デジタル社会形成基本法2条)

データ駆動型社会=モノのデジタル化・ネットワーク化によって様々な産業社会に適用され、デジタル化されたデータがインテリジェンスへと変換されて現実世界に適用されることによって、データが付加価値を獲得して現実世界を動かす社会

<プラットホームとしての行政>

デジタル社会においては行政機関が最大のデータ保有者。行政機関は、データの分散管理を基本として、マイナンバー制度とリンクしたID体系の整備等とともに民間ともオープン化・標準化されたAPIで連動できるシステムを構築していくこととする。(包括的データ戦略2021.6.18より主旨抜粋)

 注;API(Application Programming Interface)

<行政手続きのオンライン化>

自治体DX計画(2020.12) 注;DXデジタル・トランスフォーメーション

優先的に推進すべき手続き

  • 処理件数が多く住民の利便性の向上や業務の効率化効果が高いと考えられる手続き。
  • 住民のライフイベントに際し、多数存在する手続きをワンストップで行うために必要と考えられる手続きのうち、「特に国民の利便性向上に資する手続き。

*デジタル社会実現重点計画(2023.6)

国民の利便性向上を図る観点から、「地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続き」や引っ越し等の行政手続きのオンライン・デジタル化を推進する。先行分野で得られたノウハウや成果を、他の分野における個人・法人による行政情報の収集や行政手続等に展開する。

<自治体情報システムの標準化・共通化>

*デジタル技術を活用した行政推進の基本原則

  • デジタルファースト:一貫してデジタルで完結
  • ワンスオンリー:一度提出すれば二度の提出を不要とする
  • コネクテッドワンストップ:複数の手続き・サービスをワンストップで実現

*データの標準化が必要となる

*標準化対象の情報システム基幹系業務

児童手当・子ども子育て支援・住民基本台帳・戸籍の附票・印鑑登録・固定資産税・個人住民税・法人住民税・軽自動車税・戸籍・就学・健康管理・児童扶養手当・生活保護・障害者福祉・介護保険・国民健康保険・後期高齢者医療・国民年金

<データ連携基盤の構築>

オンライン化された行政手続きを通じて集積したパーソナルデータを民間事業者の情報システムに連携させる

*データ連携基盤:民間事業者が創出する新しいサービスに必要なデータを公共分野や準公共分野(医療。教育・防災・子ども・食関連産業等)からAPI通じて引き出すことを容易にする仕組み。

<マイナンバーカードとデジタル社会>

*マイナンバー制度:各行政機関等において保有されているパーソナルデータを、オンラインで連携させ、各行政機関等で活用する仕組み。

*マイナンバーカード:身元確認機能・当人確認機能・真正性確認機能と属性情報確認機能。

*マイナポータルの横展開:自己情報を行政手続きだけではなく、本人の同意に基づいて外部に提供する機能。

<監視資本主義から監視社会、さらに監視国家へ>(この部分は本多氏の警鐘)

監視資本主義人間の経験を行動データに転換し、(略)AIが予測製品へと加工する。私たちに関する情報の流れを自動化するだけではなく、私たちを自動化する。(ショシャナ・ズボフ著 2019)

*監視社会:あらゆる人間の行為・あらゆる事象をデジタル技術で収集・記録し、評価し、人間に行動変容を促す社会。

*監視国家:国民や住民の行動を監視し、時の政府にとって都合の良い方に行動変容を促したり、時の政府にとって悪い属性を有する国民には行動の矯正を求めたりすることで政府が国民全体を管理する国家。

監視国家への道となる危険は既に

・個人情報保護法改正(2021年):オンライン結合や外部提供を厳しく制限していた自治体の個人情報保護条例を廃止。

・マイナンバー法の改正(2023年):マイナンバーの利用範囲の拡大、特定個人情報相互間の情報ネットワーク連携の省令事項化。

<デジタル社会における自治体と住民>

*自治体のスマート化

本多氏の指摘 ⇒個々の住民の事情を単純断片化し、聞き取り・入力処理だけで済ませてはならない。

*マイナンバーカードの「市民カード化」

 ⇒デジタル弱者は使用控え。マイナンバーカード亡失者は再発行までサービスを利用できない。

 ⇒実印の常時携帯に匹敵し、紛失・盗難・悪用の危険性。

 ⇒マイナンバーカード以外に身元確認ができない。不携帯者の「不審者」扱い。

 ⇒「身元証明カード」と「運転免許証」では再発行に要求される期間も異なっている。このように使用目的が異なり、運用方法も異なるものを1枚のカードで一体化すべきではない(情報システム学会・提言)。

*自治体のプラットホーム化と憲法13条。

住民のパーソナルデータの常時収集・記録、評価の危険

 ⇒自分のことは自分が決める、というのが個人の尊重をうたった憲法13条の法意。

●以上が概要。

主に政府の狙いが紹介されましたが、納得できないところがありすぎます。重大な問題!と私が引っかかった点は、繰り返しを避けて太字としました。これはレッドカードです。

こんな展開を殆どの国民が十分に知る間もなく、どんどん進行させています! 誰のためのデジタル化か! (2023.11.18)

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