●自治体学校分科会「会計年度任用職員制度をジェンダー視点で考える」に参加しました。
●「公務非正規助成全国ネットワーク」代表の渡辺百合子さんの報告を紹介します。(アンダーラインは君嶋)
【男女共同参画白書から】
*どの年代においても女性の就業率は上昇。
*女性の非正規雇用率は年代を問わず、男性に比べて圧倒的に高い。
・25~34歳:男性14.3% 女性31.4%
・45~54歳:男性8.6% 女性54.9%
*男性正規雇用率は20代後半~50代で7割超、女性は20代後半の6割をピークに低下を続ける。
*女性の給与は30年間横ばい。男性は90年代前半までは上昇、その後減少傾向。
「はむねっとアンケート」より
・圧倒的な将来不安を感じる。
・生活が困窮しているという市民の相談が自分の姿と重なる。
*正規職員の就業継続率は、育休を取得し8割を超えているが、「パート・派遣」は約4割にとどまっている。
【公務非正規労働者の実数と女性割合】
*国家公務員正規26万9,093人、非正規15万8,554人(うち女性7万5,539人) 「一般職国家公務員在職状況統計表(2022.7.1現在)」
*地方公務員正規280万3,664人(2022年)、非正規112万5,746人(2020年) 「地方公共団体定員管理調査結果(2022.4.1現在)」
*非正規のうち会計年度任用職員62万2,306人(うち女性47万6,403人) 「地方公務員の会計年度任用職員等の臨時・非常勤職員に関する調査結果」
【非正規公務員の低賃金】
*7時間働いて、手取り12万円 ボーナス年間で1.45カ月。(はむねっとアンケート)
*年収200万未満は53.6%(はむねっと調査)
【会計年度任用職員制度をジェンダー視点からとらえると】
*8割が女性(当制度が「女性&主婦向けのお仕事」という価値観で作られている)
*扶養の範囲内という時間設定
*一年の有期雇用
*補助的な仕事、ケア労働という位置づけ
【当事者が伝える現状】
*このままでは、いずれ公共サービスが維持できなくなると確信している。社会の根底を多くの非正規雇用の人たちで支えている。私たち一人一人が社会の中で人間として扱われる働き方をしたいし、しなければならない。
*自立して生活できる賃金ではないうえに一年更新という不安定就労。専門性とやる気のあるベテランが何とか支援体制を維持しているのが現状。
【今後に向けて】
*労働に対する正当な対価がなければ、安定的に必要なサービスを提供することはできない。自治体は模範的使用者として、地域の雇用安定・ジェンダー平等に努めるべき。
*標準的な業務については任期の定めがない常勤職員(正規雇用)とすること。
*パートタイムにおいても、安定的な制度設計を。
*正規職員と非正規職員の格差を是正していく。
●私はかねがね、官民問わず正規雇用が当たり前と主張しています。恒常的に必要な仕事でありながら、非正規とされ毎年更新を繰り返し10年・20年と経過している働き方が多くあります。
必要な仕事であるのに非正規とされているのは、やはりコスト削減と簡便な雇用を求める雇用主の意向の現われだと思います。ここを変えていかなければ、日本の働き方は貧困から抜け出すことはできません。
パートは別として、真に一時的・臨時的な仕事以外は正規雇用にすべきです。
上記の点から、会計年度任用職員制度が公務に持ちこまれたことも問題です。公務に「任用」として、正式に非正規公務員が位置付けられるわけですから、改善ではなく悪しき一歩です。
現在勤務している会計年度任用職員については改善が必要ですが、この制度自体は改善の対象というよりは、正規公務員に変えていく必要があると思います。
現に非正規として働いている方のアンケートにも「私たち一人一人が社会の中で人間として扱われる働き方をしたい」と。当たり前の要求です。
またジェンダー問題ともかかわり、補助的な仕事=非正規と語られる場面も多いのですが、補助的な仕事であっても恒常的に必要であれば非正規とするいわれはありません。立派に一つの業務であると私は声を大にして言いたいと思います。(2023.11.12)