●川崎市の賀詞交換会も三年ぶりに参加できました。
とんでもない!と思ったのは次の二点。
●一つは「世界に発信する川崎へ」と嬉々として語りました。
これを聞きながら私は、「世界に注目されなくていいから、住民が川崎に住んでよかったと思える街にしてよ」「住民が何に困っているか、川崎市に何を望んでいるかを把握してよ」と思いました。
子育て世代の流出が続いているのを知らないのか。ようやく小児医療費無料化が中学3年生まで進んだとはいえ、つい先日まで、神奈川県内最下位、いや首都圏1都3県の中で最下位だったことを恥じないのか。
自治体の役割は、住民福祉の増進。それを置き去りにして「世界で活躍したい」と語るのは、市長による川崎市の私物化ではないかと思いました。
●二つ目は、「産業界をリードする人材を育てる。そのために4年生以上は毎年学力テストを実施」と晴れ晴れと語ったこと。
これも「いやいや、教育の目的は産業界のリーダー養成じゃないでしょ」と私はすぐ反応してしまいました。(もちろん結果として、各分野のリーダーが生まれることは否定しませんよ)
●教育の目的は、一人一人の成長を保障し、生きる力を身に着けられるようにすることだと私は思っています。
教育基本法でも「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して」とされており(これはやや、国家や社会のための形成者の側面が強調されすぎているとは思いますが)、一部のリーダー養成のためでないことは確かです。
●さらに「学力テストを毎年実施」と誇らしげに言いましたが、学力テストで確かな学力が身につくと思っているのでしょうか。
確かな学力は、少人数学級の実施など教育環境を整え、丁寧な学びの場を確保することにより可能となるのではないでしょうか。
●そもそも、市長がここまで踏み込むのが大問題です。この国が、なぜ自治体に教育委員会を存在させているか、市長は知らないのでしょうか。
文科省は、教育に求められる要件として、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映の3点を定めています。この要件を満たすために、ア.首長からの独立性、イ.合議制、ウ.住民による意思決定、これらを必要としています。
だから、市長がこのような発言をすることや方針の押しつけに通じることは厳に戒めなければならないのです。
●自治体の本来の役割を知らず、教育委員会独立の意味をわきまえない市長、川崎市大丈夫か。(2023.1.5)