●神奈川県議会第三定例会は、19日で閉会。日本共産党は9議案に反対、42議案に賛成しました。他の会派は51議案すべてに賛成しました。
【議案について】
●反対した一つは、議員提出第5号議案「神奈川県議会の保有する個人情報の保護に関する条例」、また定県第99号・101号・103号についてです。
これらはいずれも2021年改訂の「個人情報の保護に関する法律」に基づき、「神奈川県個人情報保護条例」を廃止し、新たに「個人情報保護に関する法律施行条例」を制定することに伴う議案です。
国は地方公共団体ごとに定められていた個人情報保護条例の規定や運用を統一化することなどを目的として法律を改訂。この過程では、個人情報の直接収集の原則や、思想・信条・病歴などの要配慮個人情報の収集禁止の原則が無くなるなどの懸念が示されています。
とりわけ問題となるのが、「匿名加工情報」です。「匿名加工情報」は、氏名・生年月日・マイナンバーなどの個人情報を加工することで「個人情報でなくなる」とみなし、本人の同意なしに第三者に提供し、情報収集の目的外使用を可能とします。
これにより個人情報は、民間事業者の求めに応じて地方自治体から提供され、本人同意なく企業などの利益のために利用されます。明らかに個人情報保護よりも利活用を優先するものです。
さらに103号議案は、どのような匿名加工情報が企業などに提供されたかを非公開情報とすることができるというとんでもない規定を設けています。
●定県第125号議案「神奈川県科学技術政策大綱について」にも反対しました。
科学技術イノベーション推進一般を否定するものではありませんが、ここにおいては、ヘルスケアニューフロンティア政策の推進が前面に押し出されています。この政策は県民を直接支援するのではなく、未病産業を支援し得られた成果を県民に購入させるという仕組みです。県民の健康を願うなら、経済的格差によって左右される商品やサービスの購入を求めるのではなく、特定健診・保健指導などの支援を行うべきです。
●知事及び副知事の期末手当の引き上げ行う定県第135号議案、県議会議員の議員報酬等の引き上げを行う定県第141号議案にも反対しました。これらは一般職員と違い既に十分な報酬等が支払われているからです。
●総括校長制度を位置づける定県第138号議案・定県第139号議案にも反対しました。反対理由は、私の前回ブログ、文教常任委員会の意見発表の中で述べています。各学校や各校長から自主性を奪い、学校や校長の序列化に繋がります。
【請願について】
請願・陳情に対する態度は日本共産党県会議員団のホームページに詳しく掲載しています。各会派が、住民の願いに対しどんな態度をとっているか、是非ご覧ください。
【意見書について】
●共産党は3つの意見書を提出しました。
「全国一律の子ども医療費助成制度の創設と国民健康保険の国庫補助の減額調整の撤廃を求める意見書案」「高齢者等が安心して利用できる介護保険制度を求める意見書案」「個人番号カードと健康保険証の一体化の義務化をやめ、健康保険証の存続を求める意見書案」です。この三つともに、ほぼすべての会派の反対で否決されました。
●子ども医療費助成制度に関わっては、共産党提案の意見書に対して自民党が対案を出しました。
結果、共産党提案の意見書は一人を除きすべての会派が反対。自民党の対案に対しては、共産党含めすべての議員が賛成し採択されました。
ではこの違いは何でしょうか。
●共産党案の要望事項は、1.国による医療費助成制度を、早期に創設すること。2.現物給付による医療費助成制度実施市町村への国民健康保険の国庫補助の減額調整措置は直ちに撤廃すること。
自民党提案の要望事項は、1.少子化問題の観点から、全国一律の子ども医療費助成制度を創設すること。2.地方単独事業による子供に対する医療費助成の実施に伴う国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置を直ちに全面廃止すること。3.希望する人が希望する人数の子どもを持てるよう、子育て世帯の経済的負担を軽減する施策の一層の充実・強化を図ること。
1・2は、共産党案も自民党案も同内容です。3は、多くの人が賛成するところですが具体的な提案ではありません。つまり両党案はほぼ同内容です。
自民党がなぜわざわざ、ほぼ同内容の意見書案を作ったか、またなぜ共産党以外の会派が自民党案には賛成し、同内容の共産党案には反対したか。
答えは、「各会派の態度は内容による判断ではなく、共産党(案)には反対するという一点」でしょう。
もっとも、これは初めての経験ではありません。共産党としては、国が医療費助成制度に踏み切ることを求める意見書が全会一致で採択されたことを喜んでいます。(2022.12.19)