●11月10日は、国政要望を各省庁に対して行いました。
この場での回答は限られた項目に限っています。すべての項目はとても時間内に収まらないものですから、残りの項目は後程文書回答をもらうことになっています。
●また終日にわたるやり取りは、全てを報告することも難しく、今日はとりあえず文部科学省との交渉を報告します。
回答部分のアンダーラインの説明は、最後に書きます。
▼教職員の仕事量を減らし、教職員定数の増員を図る計画を作成すること。
回答>働き方改革を進めたい。定数改善は大事。子どもたちの学びの確保の点からも取り組み進めたい。
任命権者は計画的な正規採用を進めてほしい。(1)
年度途中の産休・育休代替要員確保については4月からの採用を可能とする「前倒し採用」の通達を出した。(2)
▼小中学校で日本語指導が必要な児童生徒18人に対して教員一人という加配基準を引き上げること。
回答>15対1の話もきている。検討したい。
▼定数内は正規教職員を配置するよう徹底すること。
回答>計画的に各自治体で正規採用を進めてほしい。(1)
▼幼稚園の4・5歳児の職員配置基準(園児30人に教員1人)の改善を図ること。
回答>改善のための財源確保に努める。
▼朝鮮学校を高校無償化の適用外とする措置を撤回すること。
回答>法令の趣旨にのっとって適切にやっている。
▼特別支援学校の教室不足解消の手立てとして、新校建設を基本とする方針を示すこと。
回答>2019年~2024年の集中的な取り組みとして、国庫の3分の1補助を2分の1補助に引き上げている。
▼教科書検定基準が改定され、政府統一見解などに基づく記述が求められている。歴史的な反省に逆行するものである。改定の撤回と検定の緩和を図ること。
回答>政府見解などの併記を強要するものではない。問題提起は否定しない。
▼大学・専門学校の学費を半額にし、将来的には無償にすること。入学金を廃止すること。給付制奨学金を拡充すること。奨学金返済の免除に踏み出すこと
回答>・入学金は、各大学が丁寧な説明により理解を得るべき。
・無償化などは、就職する人との公平性という点から慎重に対応すべき。(3)
・奨学金は、430万人が返済中。免除となれば、これまで返済した人との公平性が問題となる。(4)
▼「文化芸術による創造性豊かな子供の育成」の申請を簡略化し、予算を増額すること。
回答>予算は概算で増額している。簡略化も取り組んでいる。
●参加者からの発言
▼君嶋》・教師の仕事は、生徒とのかかわりで総合性が必要。安易に外部人材の活用に頼るのではなく、あくまでも教員を増やすことを基本に据えてほしい。 ←承知した。
・欠員を抱えて新学期スタートせざるを得ない教育委員会は少なくない。現状をどう考えているか。 ←採用がうまくいかなかったなど様々な要因がある。
▼I》不登校が増加している。フリースクールなどの周知を図ってほしい。 ←担当課に伝える。
▼U》・日本語指導の教員18人に一人というだけではなく踏み込んだものに。
・入学金について学校の運営に使っているという大学もある。道理があるのか。 ←地位を得るための対価。
・給付型奨学金拡充の方向性を示してほしい。
▼O》朝鮮学校を無償化から外すのは、官製ヘイトだ。
▼N》・朝鮮学校補助についての法的根拠は? ←2条1項5号、省令の定めるところに限る。
・学費が高くて生活が困難。高学費は貧困の連鎖を生む。
・経済的に、週5日のバイトを余儀なくされている。ヘルプなどが入れば、学校に行くことが不可能。
・奨学金返済が不安。
▼M》・学費減額を望む声は強い。
・学費は受益者負担という指摘もあるが、国が本来保障すべきではないか。
・食糧支援、すでに県内で1万人が受けている。
▼O》分教室方式では、クールダウンの場所がない、音楽の授業の音が気になるなどの問題がある。特別支援学校の整備が必要。
●回答部分のアンダーライン(1)(2)は、貴重な前進です。神奈川県でも定員内の正規雇用を抑え臨時的任用とする傾向が続いていたところ、今回来年度に向け正規採用数を増やすことができました。定員はすべて正規雇用とすべきと求めてきました。
また逆に(3)(4)は、このごろよく持ち出される悪しき「公平論」です。こんな「論」を持ち出し、これまでの人に比べれば不公平などと言い出したら、永久に制度は前に進みません。
(3)は、悪しき「受益者負担論」でもあります。学生の学びは、個人的な「受益」にとどまらず、社会に還元されます。経済的な格差によらず、誰にでも学ぶ機会を保障するために、諸要求は出されています。 (2022.11.10)