●県教委が発表した6校の定時制募集停止に、あれこれ胸を痛めていましたが、募集停止発表前から文教委員に案内されていた「神奈川県高等学校定時制通信制生徒生活体験発表大会」に出席しました。
第72回ということですから、長い伝統があるんですね。神奈川県大会を経て全国大会もあるそうです。以前の文教委員の時にはご案内いただいていたのでしょうか。私としては初めての出席です。
●発表会と言えば、お行儀のよい無難なものに終わるのかしら…と失礼な懸念を覚えていましたが、その予想は外れました。
最初の発表は、「人付き合いを学ぶ」。テーマを見たときは、「ウーン」と微妙な感想を持ちました。高校生の時から処世術かと思ったのですが、それは誤解でした。
いじめから不登校に。ひきこもりを余儀なくされ、自殺願望なども強かった方でした。ようやく定時制高校にたどり着いたということでした。
この方は、それまでの経験から発言や行動に細心の注意を払うようになったそうです。常に謙虚な気持ちで周囲と接する、皆をまとめるなどを心掛けているということでした。
それまでのつらい経験からでしょうが、「常に中立を演じる」と言ったのが、私としては残念でしたが、定時制の場で、生きる力を身に着けていることが私にはうれしかったです。
●次の発表は、45歳の時に入学を決意したという方。お子さんの高校入学の時に「私も行きたい」と思ったそうです。先生に背中を押され入学を果たしたと。
今は遠足も楽しいし、学校生活は本当に楽しいとのことでしたが、学びはどんなに人間を勇気づけることかと思いました。
●三番目の方は、おじいちゃんへの思いを語りました。
母子家庭で経済的にも困難。祖父が応援してくれたと語りながら涙ぐみ、声が詰まる場面もありました。こんなに率直に家族への思いを語ることに心温まりました。
●四番目は、外国籍の方。
多文化共生部に所属しているとのことでした。単なる部活にとどまらず「心の居場所」になっていると。
文化祭は全日制とともに実施し、楽しい行事となっているそうです。
「母国の社会を支援したい」とも。
●次の予定があり、聞く事ができたのはここまで。全部聞きたいなあと心を残しながら席を立ちました。
でも、四例それぞれに典型的な体験だったと思います。定時制高校がいかに多様な役割を果たしているかがわかります。
●先生が丁寧に出口まで案内してくれたので、色々お話もできました。
今回の会場は、定時制募集停止とされた翠嵐高校の統合先である神奈川工業高校が並置されている神奈川総合高校。
様々な生活体験に温かいまなざしを注ぐ学校現場。募集停止を打ち出した教育委員会に聞いてほしかったなあ(こういう実態は知っているというでしょうけど)。 (2022.10.22)