●2019年10月12日の台風で中原区の宮内・山王町などが泥水に浸かった日から3年、「台風19号多摩川水害3周年フォーラム」が開かれました。
●この台風は川崎市の把握で、死者1名、全壊家屋33件、半壊家屋948件、床上浸水1314件、床下浸水411件と記録されています。
地域によって現象は様々あるのですが、中原区で生じた被害は「市が排水樋管ゲートを閉めなかったことにより、多摩川の水が排水樋管を逆流した」ということが明らかになりました。
川崎市は樋管を閉めなかったことについて、「排水樋管の操作手順通りであった」として過失を認めていません。
ただ一方で、台風後「操作手順」を変更しています(2020.7.1)。説明会時、「操作手順を変更したということは、これまでの操作手順に誤りがあったということですね?」という私の質問には答えませんでしたが。
●これに対して市民は、「原因究明、被害者の生活再建支援策、再発防止」などを求めて「台風19号多摩川水害を考える川崎の会」を作り、住民アンケート・学習会・署名行動・議会請願・現地見学ツアーなどを繰り広げます。
市はそれでも責任を認めず、被災者支援も打ち切られたため、2021年1月17日には33名が原告となり「台風19号多摩川水害川崎訴訟原告団」が結成されます。
3月9日原告団72名が、川崎市を相手に約2億6900万の損害賠償を求め横浜地裁川崎支部に提訴しました。
今年9月20日には第5回口頭弁論が開かれ、12月6日には第6回口頭弁論を迎えます。
私も傍聴に参加したいと思いながら、議会日程などが重なり残念な思いをしています。第6回口頭弁論も本会議開催日です。
●フォーラムでは、裁判劇、弁護団団長からの裁判経過報告がありました。これまで反論書のやり取りが行われてきましたが、市の反論も限界にきているとのこと。次回から証人尋問が始まるそうです。
裁判の目的は、被害の回復と被災地域一帯の再発防止。再発防止は、樋管操作の改善を求めるだけではなく、市の責任を問うことにより長期的な災害対策を市に迫り、市政の在り方を変えていくことにも繋がります。
国交省OBの中山幸男さんの講演「気候変動により多発する水害とその対策」も行われました。
●「水害を考える川崎の会」から始まり、原告団の結成と提訴、ここでも市民の力を実感します。「台風被害で大変だった」という嘆きで終わるのではなく、ここまで行動する人たち。今も「原告団に加わりませんか」と被害者には呼びかけています。
原告団長の川崎さんが度々語る「私たちはなぜ水害にあわなければならなかったのか」「子どもたちになぜあの時闘わなかったのかと言われるようなことはしたくない」「安心して住める川崎を子どもたちに手渡したい」などの言葉は、編笠事件にみられる水害と闘ってきた川崎の歴史を想起させます。
またこの会と原告団は、他の団体との交流や他地域の取り組みにも積極的に関わっています。
実に頼もしい「仲間たち」です。(2022.10.10)