●産業労働常任委員会、ようやく共産党に質問が回ってきました。
今回は珍しく、答弁含めて一時間も使えます。(普段は15分程度)さしあたって神奈川県労働委員会に関わるやりとりを報告します。
●昨年の本会議で、「個別労働紛争に係る労働委員会のあっせんは数年0件が続いているので、廃止をしてもいいのではないか」という質問がありました。
それに対し、知事は「労働委員会によるあっせんはその役割を一定程度終えたのではないかとも考えていますので、今後県では、関係団体の意見も伺いながら、労働委員会への委任について、廃止を含め、そのあり方を検討してまいります」と答弁しています。
●このやりとりに私は引っ掛かりを覚え、色々調べました。その結果、神奈川県では、個別紛争のあっせんは県労働委員会に直接行うことはできず、労働センターのあっせんを経ることになっています。これは全国的にも珍しい扱いです。
労働センターの案内には「労働センターであっせん指導を行ったが解決に至らない場合、事案によっては当事者双方の希望により神奈川県労働委員会の公労使あっせん員によるあっせんを行うこともあります」と記されています。
この特殊な扱いについて、なぜこのような仕組みになっているのか委員会で質問したところ、「労働センターは個別紛争に関わる法制定以前から相談・あっせんに尽力してきたので、枠組みとしてセンターにおける相談・あっせんを必置とした」旨の答弁が返ってきました。
●労働委員会についての案内を見て、あっせん件数ゼロも無理はないと思いました。労働センターのあっせんを経ても解決しない状態で、労使ともに労働委員会あっせんを希望することは、あまり考えられません。
私が調べた2016年~2020年の間だけでも、全国的に5年間通してゼロは神奈川県だけで、異様な感じがしました。
この特異な状態になっている要因をどのように捉えているかを問うと、「相談者に労働委員会の意義やメリットが伝わっていないのではないか」との答弁。(ウン、確かにそうだろうと思いながら聞きました)
●さらに、この案内には疑義があります。「双方の希望」が労働委員会あっせんの条件とされている事です。
労働委員会では労働関係調整法に基づくあっせんなどは、一方当事者の希望により成り立ちます。個別紛争に関わる場合のみ「双方」を条件とすることが妥当かどうか、疑わしいところです。
この点についても、「間違いではないのか、少なくとも妥当性を検討してほしい」と繰り返し求めましたが、答弁は「否」。頑なさが際立ちました。
●本会議で答弁した「廃止を含めた検討」における「廃止」の範囲も質しました。その範囲は、「国の業務を知事が労働委員会に委任すること」と答弁。「廃止」されれば、個別労働紛争について、県民は県労働委員会を利用できなくなります。
私は、次の二つを根拠として、「廃止をしない」ことを求めました。
一つは、ゼロが続いたのは、労働センターのあっせんを前置とし、さらに「双方の希望」を労働委員会あっせんの条件としたこと等の、特殊な経緯があった故と考えられる。
二つ目に、紛争処理の手段が複数ある事は相談する側にとって好ましいものである。公労使の三者あっせん員による労働委員会の意義はあるので、あえて道を閉ざす必要はない。
県労働委員会にあっせんの道を残しておいても、何の差支えもないのに、不可解な動きです。(2022.3.8)
注;「労働委員会」とは、労働者が団結することを擁護し、労働関係の公正な調整を図ることを目的として、労働組合法に基づき設置された機関です。