君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

新自由主義の克服は、資本主義そのものを問う作業 |君嶋ちか子|神奈川県会議員

2021年1月29日

●活性化研究会主催の学習会に参加。日本経済がなぜ昏迷状態にあるかが語られました。

講師の村上研一氏は、新自由主義を克服するためには、資本主義の限界と問題点の自覚が必要と語ります。

●戦後日本経済の高度成長の時代は、1971年のニクソンショック・オイルショックで大きな壁に突き当たります。しかしながら、70年代後半にはいち早く不況からの脱却を遂げ、80年代半ばには一人当たりGDPが米国水準に達します。電機・自動車産業の輸出主導による成長が日本経済をけん引した時期です。

これを支えていたのが、減量経営による競争力強化です。村上さんたちの著作『資本主義を改革する経済政策』では、この時期の産業への国家支援を指摘します。一つはME(マイクロエレクトロニクス)化を可能とする通産省主導の技術支援、もう一つは、78年の「特定不況産業安定臨時措置法」による不況産業への支援です。

●その後バブル崩壊を経て、さらに収益性強化路線をひた走ります。不良債権処理、法人税抑制、非正規雇用増・賃金抑制策によるコストダウンなどです。

これらの行き着く先は、短期的収益性志向の限界です。

「今儲かる」分野に注力することから技術革新への対応に遅れをとります。また、コストダウンのための分社化や人員削減により技術の流出を招きます。

その結果電子電機産業においては、赤字転落、半導体等電子部品においても黒字幅が縮小します。一方で中国・韓国の企業が台頭します。

自動車産業は、研究開発・部品調達、さらにはサプライチェーンまで海外に依存し、空洞化が一層進展します。

内需においても、非正規雇用の拡大などによる労働条件の悪化、再分配機能の弱体化などにより格差と貧困が増大し、衰退の一途をたどります。

こうして日本の経済は、需要面・供給面共に脆弱さが露呈し、内需・外需ともに低迷という状況です。

●では、これらをどう打開していくかが問題です。

これについて二つの側面から。

一つは基礎的生活条件の保障です。労働条件の改善、所得再分配機能の再建が必須です。

もう一つは、持続可能な産業構造の構築です。

その為に(1)国内における食糧・エネルギー産業の育成 (2)企業の短期収益支援ではなく、社会的要請踏まえ企業行動の規制・誘導を行う産業政策 (3)更なる産業調整

(2)については、「今儲かっているところを応援するという現在の政策は間違っている」と。ドイツやアメリカでは、再エネ分野など社会的要請に応えて支援を行っていると。強く共感。

(3)については、やはり「2000年代の短期収益性に基づく処理ではなく」と強調されました。小泉政権の下で、企業がどんどん淘汰されていった場面を思い出します。

公的領域の拡充(公的支出による生活保障への転換など)、新自由主義からの転換の必要性も語られました。

●最後に強調されていたのは、「新自由主義の克服」は、大きな政府を対置すれば達成されるものではなく、「資本主義の原理自体を転換し、社会的な経済余剰を公的に管理し利用する社会へとつながる改革を実行することによって、なされなければならない」という点です。

社会福祉への手厚い予算というような量的調整だけではなく、政府の役割の質的転換が求められているという事です。これはとりもなおさず、資本主義そのものを問い直すという作業です!

何故、小さな政府批判だけでは済まないのか。政府の在りよう抜きに「小さな政府」を大きくしても、付けは結局国民に回ってくるという事です。例えば不良債権処理での公的資金導入や、無尽蔵ともいえる国債の大量買入れなどがその例です。こうした資本のための大きな政府は、緊縮財政により、公共サービスや福祉を犠牲にします。国民犠牲の構図は変わりません。

●私は、「日本が他の資本主義国に比べても格段に短期的収益を志向する落とし穴にはまり込んでいる事情」を問いましたが、アメリカの圧力ではないかとの答え。

細かな検討を加えるいとまはなかったのですが、アメリカ追従が際立っている日本なら十分あり得ること。政治・軍事だけではないアメリカの重しがここでも、と思いましたね。

最後に「このような授業、若者はどう受け止めてますか」と聞きましたが、結構人気がある授業になっているとの言葉にひと安心。(2021.1.25)

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