●産業労働常任委員会の報告、その1です。
●第一に取り上げたのは、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)の定款変更についてです。
2017年に、二つの施設の統合とともに独法化されました。その動きにも私は反対しましたが、今度は成果活用事業所に株式を出資できるようにするという変更提案です。
▼変更の目的を問いました。
←試験研究機関である法人において出資を可能とするとの答え。(目的を問う答えには至らず)
▼規定の追加には「株式または新株予約権を取得し」とあります。新株予約権取得に至る流れを問いました。
←共同研究などの成果を活用した事業所が支援を求める場合、合意に至れば、新株予約権が無償でKISTECに提供される。
▼新株予約権の役割は?
←企業に対し、支援をしていくことが可能となる。KISTECとしては、株を取得し売却益を見込める。
▼新株予約権の取得に対し、どのようなサービスを提供するのか?
←特許出願に向けた指導、会議室使用を可とする、資金調達に向けた金融機関を紹介。
▼これらのサービスは、新株予約権が介在しなければ行えないのか?
←そういうことではない。(この答えは、記憶にとどめるべき。新株予約権や株の売却益云々を言わなくても純粋に必要な支援をすればいいという結論にもなる訳ですから。)
▼当研究所自体は、これによって何を得ようとしているのか?
←ベンチャー企業を支援し、社会に還元させていく。
▼株式購入及び売却によりリスクを負う場合、そのリスクはどのように吸収されるのか?
←株式公開時に損失が考えられる場合には行使しないので、損失は発生しない。(この点はさらに調査しなければなりなりません。予約権によると利益だけで済むのか、売却時に損失が一切発生しないのかなど。)
*公的研究機関の役割に照らし、特定の企業の株式に関わることは好ましいとは言えません。公的研究機関は、あくまでも短期的利益や収益に左右されず、県内企業に等しく開かれたものでなければなりません。収益にも通じる関係を続けることは、公的研究機関としての立ち位置を歪めかねません。まして、新株予約権と切り離しても支援サービスが可能ならば、純粋に技術的支援を行っていけばいいだけのことです。
今回提案されている仕組みに陥ることなく、技術的支援や研究開発支援を中心に据え、県内産業と科学技術の振興に貢献することを要望しました。次回、議案として提案される予定です。
●次に取り上げたのは、フリーランスについてです。この間、新型コロナ感染症に関わる支援制度などでもその規定が問題となりました。県が実施している労働相談などで排除されていないかを問題としました。
▼フリーランスについて神奈川労働センターでは、どのような定義を用いているのか?
←業務の指示、業務内容、指揮命令権など契約内容や実態に応じて判断している。
▼厚生労働省は、「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」の中間整理では保護のあり方をめぐり「請負契約と称していても、発注者との関係において実質的に、指揮命令を受けて仕事に従事し、その対象として報酬を得ることにより労働基準法の労働者性が認められる場合には(略)個別的労働関係法令の対象となることは当然」としている。
この点についてはどのように受け止めているか?
←(正面からは答えず)指揮命令権の有無などを確認しながら、適切に判断している。
▼労働者性が強いか、事業者性が強いかという外形上の問題だけではなく、相談者が直面している問題の内容による判断も必要だ。
問題となっている事が、契約内容や相手とのトラブルである場合には、実質的に労働条件に関わることが多く、労働相談がふさわしい場合もあるが、どのように認識しているか?
←労働者性の判断基準は最高裁判例にも示されている。(私の問いは労働者性の判断にとどまらず、相談内容による判断を聞いているのですが、それには答えていません。)
▼これらの取り扱いについて、それぞれの窓口で認識が共有されることが必要だが、その為の工夫は?
←認識の共有は図られている。相談者の話をしっかり聞くことを心掛けている。
自主的な選択と契約が可能な個人事業主は限られ、従属的な立場の「個人事業主」が多く存在しています。非正規の不安定雇用よりもさらに不利な条件を強いられることが少なからずあります。社会保険や労働法制も適用されず、一人で放り出されている状態です。実態に見合った労働契約が本来的には相応しいと思います。
その点での是正とともに当面する問題解決に向け、労働センターの相談が適切な役割を果たすことを求めました。
またフリーランスや個人事業主も相談対象となることを知らない方も多いことから、対外的な周知が必要です。専用の窓口を設けるとか、啓発において強調するなどの工夫を求めました。
●長くなりましたので、取り上げた他の課題「働くときのルールパンフの配布」と「かながわスマートエネルギー計画の課題」については次回の報告とします。 (2020.10.1)