●新型コロナ疑似者を受け入れている病院の看護師の方に実態をお聞きしました。
保健所からの要請があり受け入れを決定。病床を空けることから始まり、患者さんを他の病床に移しました。
疑似とはいえ隔離をしなければなりません。その為に複数病室を一人用として使うことになります。明らかな収入減が直ちに生じます。
●この病室の担当者には、家族等への感染を避けるために寮が用意されました。
でも家に一切帰らない訳ではありません。出勤時、家族と「じゃあね」と別れるとき、「これが最後になるかもしれない、次は骨になっているかも」と思うそうです。
もし感染すると、面会もかなわず、最悪の場合は見送られることも叶わず、骨になって家族の元に帰るからです。
この担当になることを家族に告げた時、お嬢さんから覚悟の手紙が渡されたそうです。この方は「原発労働者もこんな気持ちなのかなあ・・・」と。
●夢を見るといいます。危険地域のレッドゾーンとクリーンゾーンの動作を間違え驚愕する夢を何度も。同僚にも同じような夢を見た方がいるそうです。
どれほどの緊張を強いられているかということです。若い看護師さんは、緊張と恐怖で泣き出す場面もあったそうです。
「若い看護師さんを一人もドロップアウトさせない」というのがこの方の決意の一つでもあります。このお話には、看護師としての誇りと優しさを感じ、胸を突かれました。
●恐ろしかった話の一つが、「コロナ担当の自分たちが一番安全」という言葉。防護服やマスクが、他の方たちより整っているからという意味です。
無自覚の陽性者がいるかもしれない一般病棟や外来で医療行為に当たる方たちが、どれ程危険な状態で仕事をしているかという事です。
防護服はもちろんマスクさえも足りません。
●とはいえ、担当を断る方もやはりいたそうです。また受け入れを断る病院も。様々なリスクと経済的負担を考えると二の足を踏む病院があったとしても不思議ではありません。
一方で、このリスクを承知して受け入れてくれる施設、担当してくれる方々がいなければ、私達はみすみす命を失うしかありません。
このような方々の決意にどのように報いることができるか。敬意や感謝とともに、充分な保障は当然です。受け入れのためにベッドを開けておくことによる減収、隔離対策、医師・看護師などの特別な体制、一般病棟や病床を減らさざるを得ない等々、経済的負担は計り知れません。
コロナ対応の病院に独自の助成を決めた杉並区では、1病院当たり月額1.3~2.8億円の減少が生じるとしています。
これらを保障し、さらに行政や政治が支援することを表す具体的行為として、財政的支援が必須です。
これがなされなければ、まさに先々含めた医療崩壊です。6月で倒産という悲鳴も上がっています。医療機関の報告も追って。(2020.4.23)