一般質問は、本会議初質問となる上野議員です。
●最初に取り上げたのは、「校則」です。
校則について私達は、基本的に学校の主体性に委ねるべきと考えています。あえてここでとりあげるのは、人権侵害に当たるものが存在するためです。
提出された140校以上の校則には、頭髪に関わるもの110件を初めとして、肌着に関わるもの、男女交際含め人間関係に関わるものなど、人権上看過できないものが多くありました。
明らかな人権侵害や必要性が疑われるものについて、教育長の見解を問いました。
教育長は、「地毛証明などは生徒指導上の工夫、肌着はYシャツの下のTシャツに対する指導であり、人権侵害とは言えない」と答弁。
校則見直しの際には、生徒の主体的参加を保障すべきと求め、これには教育長も同意。
●第二に、「学校栄養士の配置」について質しました。
公立小中学校の栄養士配置基準は、義務標準法により、生徒550名未満は4分の1名、550名以上は1名と規定されています。その為2~4校掛け持ちが存在しています。
食に関する指導の充実やアレルギーへの十分な指導のためにも、義務標準法の改正を国に求めるとともに、当面県独自に各校1名配置を行うべきと質しました。
教育長答弁は、「国が責任もって講ずべき。国に求めて行く」にとどまりました。
●第三に、「保育士の配置」についてです。
国の省令で、保育士は0歳児3人に1人、1~2歳児6人に1人、3歳児20人に1人、4~5歳児30人に1人とされています。
神奈川県実施の「保育士実態調査」では、回答の42.1%が「職員数の増員」を望んでいます。
子どもの安全確保と発達保障、過酷な労働環境改善という観点から、国への要望とともに、当面県が上乗せ補助を行うべきと求めました。
知事は、「県では、低年齢児の受け入れや虐待対応など、基準を上回る保育士を配置する場合に人件費を補助しています。配置基準の改善を国に求める事や、県独自の上乗せ補助を実施することは考えていません」と冷たい答え。
わたしは、「1~2歳児6人を、知事やってごらんよ」と思わずつぶやきました。災害時の安全確保はもちろん、行き届いた保育などとはかけ離れたものにならざるを得ません。大体、求めているのは配置基準の改善です。答弁が全くずれているではありませんか!
●第四に、「公立・公的病院の急性期病床再編統合」についてです。
政府は2025年に向けた再編統合の再検証を求め、県内10病院もその中に含まれています。地域医療を守るという点から、この再編統合の中止を求めるべきと質しました。
知事は、「今回再検証の対象となった病院は、地域で重要な役割を担っている。今後も医療需要が見込まれる本県は、再編統合を進めるべき地域ではない」と明言。この点はよかったのですが、「病院の統廃合などを進めるべき地域もあることから、国に再編統合の中止を求める考えはありません」と。
私は、人口減少地域でこの再編を求められる苦悩を思いました。セーフティネットを削減してしまえば、地域はさらに人口減少を招くことでしょう。採算性だけでは測れない医療に対して、国の容赦ない要請は、当事者と住民を苦しめています。
●第五に、「公立・公的病院に対する補助と診療報酬」 についてです。
国の新規事業への補助を病床維持も対象とすること、次期診療報酬改定に際し、公立・公的病院の急性期病床の維持・確保に向け、県の助成を行うべきと、求めました。
知事は「病床の削減などを対象とした国の支援策の活用は想定していない」、診療報酬の改定に関わっては「国で検討されるべき」と答弁。
●第六に、「コロナウイルスなどの感染症対策」についてです。
公立・公的病院の感染症病床を拡充すべき、県衛生研究所の体制強化、さらに他の医療機関でも検査を可とするよう求めました。
知事は「より多くの医療機関で感染症対応ができるよう取り組む。衛生研究所の検査の迅速化とともに、検査機関の拡大について、国・他の自治体とも連携し取り組みたい」と答弁。
●最後に、「障がい者活躍推進計画について質しました。
民間の実例視察の状況も伝えながら、特に知的障がい者の受け入れを積極的に行うよう求めました。
これについては、具体性には欠けるものの、推進していくとの答弁でした。
●上野議員は再質問で、保育士配置基準がふさわしいと考えているのかと問いました。
知事は「最低基準と考えている」と答弁。相応しいとは言えないという事ですから、県としての対応を是非望みたいところです。(2020.2.25)