●箱根の噴火警戒レベルが、5月18日からの群発地震活動を契機に1から2に引き上がっています。
その状態が今も続き、ロープウエーも運休せざるを得ず、住民に不安も高まっています。状況把握のために、はたの君枝衆院議員、山田和江箱根町議、大山奈々子県議とともに神奈川県温泉地学研究所(以下、温地研)に伺いました。
温地研がデータを提供し、気象庁が警戒レベルの決定を行います。
●温地研は、4年前の箱根噴火の際にもお世話になったところです。様々な活動状況伺いながら、県に職員増を求め実現できた時はとてもうれしかったものです。
今回も加藤所長から、丁寧かつ明快なお話を伺うことができました。以下そのポイントです。
▼今年3月から、地震と地殻変動がやや活発化し、噴気ガスは増加。
▼噴火警戒レベル引き上げの基準が4項目あり、該当項目が複数認められればレベル2に引き上げる。今回は、〇カルデラ内の地震多発、○地殻変動の活動活発化が該当。
▼急激な群発活動は終息したものの、散発的な地震活動が認められ、緩やかな地殻変動も継続。
▼2015年の地震活動に比べれば、はるかに小規模。
▼警戒レベルの引き下げまでには、時間がかかると考えられる。
●質問・やりとり等させていただきながら、今後に向け大切な点は次の通り。
★安全性確保が大切なので、基準引き下げにはくみしないが、住民要望がもっと取り上げられるべき。安全性と営業のバランスが大切。
★様々なリスク回避のために住民と自治体の議論が要。
★「火山との共生」の意味を問うと、「火山活動が活発化している時にどう対処するか」がカギと。
視点としてふたつ、ひとつは大涌谷に変わり得る魅力を発見或いはつくり出す、またひとつには、普段の営業と暮らしの中で活発化した時の備えをつくり出す。
★上記視点のふたつ目に関わって、国と行政の役割が重要。基金などとともに、温泉文化や住民の暮らしと営業を守るために支援制度の確立が望まれます。長い間培われてきた箱根の文化と営業は、神奈川県にとってかけがえのないものです。箱根町を孤立させない国と県の対応が期待されます。
●「地震・火山と温泉のホームドクター」この言葉がこの研究所の役割を端的に表しています。
調査・研究を通して防災に貢献し、環境資源の長期的保全に寄与。箱根ジオパークの拠点として自然の素晴らしさを発信し続けています。
他県にはこのような施設はありません。やはり火山を抱える鹿児島市が検討中という事ですが。
全国的にも特殊なこの施設があって本当に良かったと思います。人間的な視点を堅持しながら科学的なデータを活用できるのは、温泉地学研究所があってこそです。十分な人と予算を!
所長の誠実なお人柄も印象的でした。(2019.8.6)