●「神奈川の県立図書館を考える会」は2012年に発足し、現在350名。これまで様々な提言などを行ってきました。私はスタンスの微妙な違いを感じることもありますが、図書館に対する情熱を持っている事は間違いありません。
この会が「県立川崎図書館をものづくり・科学人材の育成拠点に」と題するシンポジウムを実施しました。
●このシンポの趣旨は「新しい県立川崎図書館の門出をお祝いし、これからの県立川崎図書館への期待を皆さんとともに語り合いたい」というものです。
私は午前しか参加できず、この狙いを探る、あるいは現状が図書館のめざす方向性として妥当なのか、等については残念ながら十分な認識は得られていません。
●最初に「科学人材の育成と世界の中の日本」と題する、藤島昭東京理科大学前学長の講演がありました。この方のお話しは二度目ですが、興味深い視点で科学を引き寄せて語ります。
酸化チタンを使った光触媒反応の発見で知られています。「太陽と光しょくばいものがたり」を、かこさとしさんと共著で著しています。
県立川崎図書館には藤島昭氏のコーナーが設けられています。
お話しはとても面白かったのですが、この分野の大切さと図書館のあり方はまた別の話、という思いで私は聞きました。
●続いてのパネルディスカッションは、「産業政策の中での神奈川県立図書館」がテーマです。
最初に地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所理事長の馬来義弘氏が当研究所について説明。
この研究所は、3年前産業労働委員だった私が、中小企業支援が弱まり、同時に基礎研究を歪めるとして反対した組織統合によりできた機関です。
新しい産業価値の創出などと言っていましたが、その後研究機関としてどのような役割を果たしているのかが気になりました。
●次は、(株)ケイエスピー常務取締役の蛯名喜代作氏。産業構造をハイテク化することを目的とし、神奈川・川崎を日本とアジアの科学技術と研究開発のセンターにするとして、1989年に開設されています。
施設の所有は保険会社・信託会社・建設会社などの5社からなる第三セクターによります。
先の(地独)産業技術総合研究所と連携し、シーズ開発・ベンチャー企業創出に取り組むといっています。
●神奈川県資料室研究会副会長の活動も紹介されました。
この後、川崎信用金庫参与の伊藤和良氏と県立川崎図書館元館長林英明のお話しが予定されていましたが、もう時間は12時15分、私は後ろ髪を引かれる思いでしたが、川崎母親大会参加のために会場を後にしました。このディスカッションはどこに行きつくのだろうかと思いながら。
午後からも講演と「図書館の未来と県立川崎図書館」と題するパネルディスカッションが予定されていました。
●各企業がものづくりに図書館を活用するのはもちろん喜ばしい、だけど図書館はやはり市民のもの、企業の資料室ではないという思いは、相変わらず強いのです。
県立川崎図書館のゆくえを探る作業はまだまだ続きそうです。(2017.6.17)