●教員の欠員問題がいよいよ切迫している中、「教員の過重労働の解決と給特法」と題する学習会に参加。講師は日本共産党文教委員会の藤森毅さん。
藤森さんはレジメの中で、「長時間労働解決への重要局面」と指摘しています。その意味は、「教師は我慢の限界、政府も無視できない、国民も変化」と。
同感です。「教師の労働環境の大変さ」だけではなく、「生徒の学ぶ権利が侵される段階」になったと思います。
●講演では現場から悲鳴が上がるのもさもありなんと思わせる、教師に関わるデータが次々と示されました。
例えば、1週間当たりの残業時間
1966年 | 2022年 | |
小学校 | 1時間20分 | 21時間34分 |
中学校 | 2時間30分 | 29時間41分 |
土日含む夏季休暇
日 本 | 5.7日 |
イングランド | 29.7日 |
スコットランド | 36.2日 |
フィンランド | 63.2日 |
●これらの要因としては、コマ(授業)数の増大と教員不足があります。
本来は4コマを原則とし、4時間を授業に充てる、残りの4時間は指導の準備や公務一般に充てるとされていましたが、週休2日制などを通じ5コマ、6コマへとコマ数が増えていきます。
また教員多忙化のもう一つの要素としては、子どもと保護者の困難が増している事です。様々なケアの必要性が増大しています。
コマ数を4時間に抑えるためにも、困難事案への対応のためにも、教員体制にゆとりを持たせる必要があり、教員定数を増やすことは必須です。
●この日、給特法(公立学校教員特別措置法)も取り上げました。
*1948年「政府職員等の俸給等に関する法律」によって、教員に残業代は支給しないとされる。
*1949年事務次官通達は、「教員の勤務は時間拘束になじまない」との見解。
*裁判の判決等で残業代不支給についての問題点が示される中で、1971年給特法成立。
●給特法の骨格と残業めぐる判決
*教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しない。
*教育職員には、その者の給与月額の100分の4に相当する額を基準として、条例で定めるところにより、教職調整額を支給しなければならない。
*教育職員の残業命令は四項目の業務に限る(生徒の実習・学校行事・教職員会議・非常災害等)としながら、政府の法解釈は「教員の自発性に基づく教育活動が今後は行われてはならないことにはならない」(なんという言い草!)
*しかしながら、労災認定を行った鳥居判決は明快!
「個別的な指揮命令がなかったとしても、それが社会通念上必要と認められる限り、包括的な職務命令に基づいた勤務時間外の職務遂行と認められ…」(2011年6月29日京都地裁)
*田中判決「多くの教職員が(中略)一定の時間外勤務に従事せざるを得ない状況にあり、給料月額4%の割合による教職調整額の支給を定めた給特法は、もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」(2021年10月1日さいたま地裁)
●教育現場の危機的状況に対して、また給特法めぐる動きに対応して「教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名」が教育研究者有志によって呼びかけられました。署名項目はつぎのとおり。
1。教員にも残業代を支給すること
2。学校の業務量に見合った教職員を配置すること
3。これらを実現すべく教育予算を増額すること
私には「救国署名」のように輝いて見えました。全国でうねりを! (2023.7.2)