君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
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神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

「原発を止めた裁判長」 |君嶋ちか子|前神奈川県議会議員

2023年7月5日

●「原発の仕組みは、私たちの常識とかけ離れています」と語る樋口英明さん。2014年5月21日、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じる判決を下したのが樋口さん。

「ひとたび深刻な事故が起これば、多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ・程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法・私法を問わず全ての法分野において最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である」

「被告は本件原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と、電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断したりすること自体、法的には許されないことであると考えている」

「たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土と、そこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である

●上記は、大飯原発3・4号機運転差し止め請求事件判決文からの抜粋ですが、人間を主役に据えた価値観を明確に謳いあげた主文にしびれました。「あーこんな裁判官がいたんだ!」と思いました。

また具体的な事として、原発の耐震性の低さに驚きました。ガルは、振動の激しさを表しますが、同時に耐震性能を表す単位です。

3.11東北地方太平洋沖地震は2,933ガル、対して福島第一原発の耐震性能は600ガル。強化された柏崎苅羽原発でも6・7号機で1,209ガル、他の原発は600ガルや700ガル台が続きます。津波がなくても福島原発は維持できなかったのです。ちなみに三井ホームの耐震性能は5,115ガル。

*大飯原発訴訟はこの後、2018年7月4日名古屋高裁において敗訴。高裁は原告主張をことごとく排除し、「新規制基準について明らかな不合理がない限り、その内容を尊重するのが裁判所としてふさわしい態度」として原判決を取り消した。

原告は最高裁への上告を断念。上告見送りの理由として、最高裁で敗訴が確定すれば各地の同種訴訟が大きな制約を受けるリスクを指摘しました。

樋口さんは退官後、各地で講演などを重ねています。

●この映画は樋口さんの姿とともに、原発に抗う農業者の姿も描いています。有機農業や発電事業に取り組む姿には、明るい笑顔とともに、福島事故を経た苦悩がにじみ出ていました。でも土とともに生きることの力強さを感じさせてくれました。

この映画を創った小原浩靖監督とソーラーシェアリングで知られているあの小山田大和さんの上映後のアフタートークも素敵でした。

人間は信頼に足るものだと思わせてくれた一夜でした。(2023.6.25、ゆめホールシネマ倶楽部Vol.25)

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