●コロナ禍の経済状況悪化により多くの暮らしが影響を受け、「生理の貧困」も深刻な実態として浮かび上がっています。
民間団体「#みんなの生理」が、昨年12月に高校生・大学生を対象に行ったアンケートによると、「金銭的理由により入手に苦労した」が20.1%、「交換する頻度を減らした」が37%、「トイレットペーパーなどで代用した」が27%となっています。
女子大生が、食費か生理用品かの二者択一を迫られた、汚すことが不安で登校できない等のお話も聞いています。
衛生・健康上の問題であるとともに、その精神的苦痛も重くのしかかります。
●イギリス・ニュージーランド・フランスでは、児童生徒や学生に生理用品の無償提供をしています。
日本では、自治体がNPO法人など民間団体に女性支援事業を委託した場合、国が最大1125万円を負担するという「地域女性活躍推進交付金」の使途に、生理用品の支給も加えることを、政府が3月23日に決めました。
自治体独自の取り組みも、県内外で始まっています。
●県議団として要望書を提出し、神奈川県でも緊急対策として取り組むよう、次の点を求めました。
1 県立学校・特別支援学校の児童・生徒が安心して通学できるよう、学校施設の女子トイレやみんなのトイレ個室に返却不用の生理用品を常備すること。
2 市町村教委とも連携し、小中学校への配布を行うこと。
3 必要な児童・生徒には生理用ショーツの配布を行うこと。
4 生理をはじめ、心や体の悩みを養護教諭らに相談できる環境を整備すること。
5 学生を含む一般女性に対しても、社会福祉協議会等を通じ、無償提供すること。
1については、養護教諭通じて実態把握に努めたいとの回答がありました。
2については、大和市の取り組みなど含め、市町村との情報共有を進めるとの回答。
その他については、具体的な対応が検討されていない様子でした。目下の困難に対応するため、早急に調査や調整を進め、近日中に回答することを求めました。
私は、1については実態把握だけにとどまらず早急な配布を、2については情報共有だけではなく取り組みの普及を、それぞれ強調しました。
●コロナ感染症の下で、深刻な実態とともに、新たな局面が次々と生み出されます。今回もその感を強くしました。
生理用品の入手さえできない貧困の深まり、それが表面化し国や自治体の支援策ともつながる、これは新しい動きです。
「#みんなの生理」は2年前に消費税が10%に引き上げられた時に大学生が中心となってつくられたグループです。軽減税率の適用や学校での無料配布を求める活動を行っています。
深刻な実態ではあるけれど、「生理」が報道や行政とのやり取りの場に登場するようになった変化に、私は感慨を覚えます。
公務員として働きながら、労働組合女性部として一貫して取り組んだ「生理休暇」の取り組みが思い出されます。様々な段階がありましたが、大雑把な言い方をするならば、「母性保護」と「男性と同等に働く」という事のせめぎあいだったような気がします。私はどちらも大切で、かつ両立できると思っていますが。
今、「生理」が働き方の問題にとどまらず、より広く女性の人権と結びつくものとして進んでいると思います。(2021.4.27)