●8月10~14日の5日間、ソウルに行っていました。
その時々の報告をFBで行ってきました。それをここで再現することはしませんが、歴史を学ぶ事の大切さを痛感した旅でした。
韓国においては、植民地下の被害はもちろん、自らの恥部ともいえる軍事政権時代のことも率直に史実としてとらえ、未来への教訓としています。
対して日本は、植民地支配の史実と問題点を認めることができないために、歪曲された発信を繰り返しています。また今回の徴用工問題にも見られるように、国際問題にまともな対応ができないでいます。
ドイツのように、過去の過ちに対する総括がなぜできないのか、これは引き続き問われなければなりませんが、日本の韓国に関わる混迷は、歴史を率直に受け止めていない事に起因することを、今回の旅で見せつけられた思いです。
●17日、「日韓対立の源流に何があるのか?」と題する大図健吾さんのお話を聞くことができました。
徴用工賠償問題では、韓国大法院が、元徴用工の日本企業に対する賠償金請求を認める判決を下したことが発端です。首相は判決に対し、「1965年の日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済み」として「判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ」と口を極めました。
しかし、解決済みではありません。日本政府自身、個人の賠償請求権は消滅していないと明言しています。
安倍政権は、批判にとどまらず、半導体企業ひいては韓国経済に打撃を与える輸出規制を行いました。続いてホワイト国除外も行う予定です。
これに対し、韓国では日本製品の不買運動も起きています。
●安倍政権のねらいとして大図さんは、文政権を屈服させ、北東アジアにおける自らの存在感を示す、日韓条約体制の矛盾拡大を許さず、かつ日本に有利な解釈を確定させたい、等が考えられるとしていますが、次の指摘はより根元的ではないかと思います。
それは、日本の植民地支配の正当性を承認させたいというねらいです。
今回の旅で得た実感とも相まって、この点が一連の態度の源でもあり、目的でもあると思っています。
●この事態に対し、私達がなすべきこととして、
*日本政府に輸出規制撤回と韓国政府との話し合いを要請する
*植民地支配の歴史的な誤りを直視し、謝罪と賠償の上に新たな日韓関係を摸索しよう と結びました。
これらの問題を考えるにあたって、世話人一同として発表された「声明 韓国は『敵』なのか」が、問題を冷静にかつ未来志向で語っていると紹介されました。
●この声明も大図さんも、日韓基本条約第2条の解釈を問題としています。
第2条は「1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結された全ての条約及び協定は、もはや無効であることが確認」と記されています。「もはや」をめぐり、韓国は、韓国併合当初から無効とし、対して日本は、1948年8月の韓国独立から無効としています。
この違いにより日本の裁判所は、1948年以前を有効とすることから、「(朝鮮人も日本国民だから)国民の受忍義務の範囲として賠償は認めない」という理屈を用いています。韓国の裁判所は、日本の支配そのものが無効なのだから、不当な奴隷労働であったと主張します。
この違いは大きいのですが、この違いの下でも、日本政府は、「個人の賠償請求権は消滅していない」と明言しているのですから、いかに今回の対応が異常かがわかるというものです。(2019.8.17)