君嶋ちか子

きみしま 千佳子
神奈川18区から政治を変える
働く場と学ぶ場に希望を!
神奈川18区女性・雇用相談室長前神奈川県議会議員
活動日誌

映画「共犯者」、記者が黙った、国が壊れた

2019年1月21日

●日付が遡りますが、是非記したく。
13日の夜、「この日しかない!」と韓国映画「共犯者たち」と「スパイネーション/自白」をはしごしました。深夜に及びましたが。
いずれもドキュメントです。ここでは一本目の「共犯者たち」について。

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●2008年、李明博政権は、米国産牛肉BSE問題などで国民的支持を失う中、メディアへの露骨な介入を始めます。公共放送局KBSと公営放送局MBCでは政権に批判的な経営陣は排除され、調査報道チームは解散。労働者はストライキで対抗するも、経営陣は解雇や懲戒処分を濫発。その結果、報道は政府広報と化しました。
朴槿恵政権下でも報道をめぐるこのような状況は続き、セウォル号事件誤報崔順実ゲート事件への隠蔽加担などが生じています。

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でも、韓国のジャーナリストは屈しません。残った記者はストライキを続け、不当解雇された人達は、市民の支援で独立メディア「ニュース打破」を立上げ、真実の報道を続けます。
この映画の監督チェ・スンホも不当解雇された一人。言論弾圧の主犯である大統領とその「共犯者」である放送局経営者に執拗に迫ります。

●調査報道チームが解散させられ、最後の放送が終了した時のスタッフの顔、涙を流しながら拍手する映像が心に残ります。
また解雇は免れながらも、制作現場から排除されたキム・ミンシク元プロデューサーは、社屋の中で「キム・ジャンギョム(MBC社長)は出て行け」と何度も叫ぶのですが、彼を孤立させないために、多くの組合員らがホールで同じように叫び、それを自撮りしながらSNSで拡散する光景も胸が熱くなります。

朴正煕・全斗煥と続いた軍事政権下を生き抜き、光州事件・1987年の民主化闘争を闘った韓国の歴史が息づいています。
映画「1987、在る闘いの真実」で描かれた民主化闘争の発端となったソウル大生拷問死事件で、警察の隠ぺいを許さなかったジャーナリストの魂を思い出します。

●常に労働組合が、報道の自由を守るためにジャーナリストを支えています。
「制作の自由を守り、公正な報道を要求するために労組を結成」し、「これらを侵し政権に奉仕する社長退陣を求める」ストを打っています。9年の間に懲戒処分或いは解雇されたジャーナリストは、実に約300人。処分の無効を勝ち取る闘いも「全国言論労組」が支えました。

また、「ニュース打破」は権力と資本から独立するために、市民の会費だけで運営しています。会員約4万人、会費は年間で約5億円に達するそうです。市民の声がSNSで数万人の力となり、2013年に設立され、職員約50人を擁します。まともなメディアはやはり市民あってこそなのです。

●日本でもマスコミの変質は著しく、NHKはじめ政府の広報機関かと思わせるような事態が続いています。映画では、安倍首相や菅官房長官を彷彿とさせるような場面も。
韓国でこの時代を経て、ジャーナリズムが脈々と息づいていることは、日本の私たちにとっても希望です。

韓国の闘いは重たい歴史に支えられ、日本の経験とは違いますが、韓国のマスコミめぐる闘いに学び、この状況を打破しなければ、国が壊れます。
ちなみに、国境なき記者団の2018年報道の自由度ランキングは、韓国43位、日本はこの数年70位前後です。日本は多くの分野で後進国であることを痛感します。(2019.1.13)

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