●JR東海が行ったリニア新幹線「大深度地下使用の認可申請に関する説明会」に参加しました。
3月20日国土交通大臣に対し、認可申請を行った事に伴い市内4か所で説明会を開催しています。
川崎市内は等々力、梶ヶ谷、犬蔵、東百合丘、片平に非常口がつくられます。この点を結ぶ地域が大深度地下の使用用対象となり、中原区では、等々力、宮内、上小田中、新城地域を通ります。
※説明会資料はここからダウンロードできます。
●以下、説明のポイントです。
<大深度地下利用のメリット>
騒音・振動の軽減等、居住環境・既設構造物への影響を減らす。
(大深度地下の定義は下図を)
<事業の目的>
・東海道新幹線は、開業から50年以上経過し、経年劣化と大災害に対する備えが必要。その為には中央新幹線による二重系化が必要。
・三大都市圏を一つの巨大都市圏とする。
<概要>
・86%がトンネル。
・首都圏、中部圏は、できる限り、大深度地下を利用。
・トンネル施工のための立坑は、5km毎に設置、供用後は非常口・換気口・保守作業等に利用。
・火災対策は、不燃化・難燃化を進め、火災発生時は原則として次の停車場まで走行。
・地震の際、トンネルは地上と違って振動の増幅が生じない。また大深度地下は地震動の影響は小さく、耐震設計の必要はないが、耐震設計を施した。
この後も、浸水・停電対策も万全、シールド工法はこんなに優れている…等々の説明が延々と続きました。安全性・環境への影響など心配することは何もありません、という調子です。
●「質問は大深度地下に限ります」「質問の方は居住地と名前を」「質問は三問に限ります」「簡潔に」の言葉が、何度司会者から発せられたことでしょう。
要するに高飛車かつ保身に満ちた説明会でした。解答も具体性を欠き、質問者(というか参加者?)の納得にはおよそ届かないものでした。
●例えば私が「大深度地下の工事自体の影響は説明されていない。心配は何もないというが、どのように実証されているのか」と問うと、「認可申請は厳しい基準が適用されているから大丈夫。しっかり見ていく」と回答。
「火事でも基本は駅まで走りぬく、との説明だったが、時速500キロで火を抱え走りぬくという恐ろしい図を、私達は経験していない。実験を行って安全だといっているのか」と問うと「不燃化、難燃化を進めている」。
「工事発生の土砂は再利用を基本とし、再利用不可の土砂は業者に委ねるとの説明だったが、再利用不可の土砂とはどのような基準か、またそれをどのように処理するのか」と問うと、「基準は業者による」。
●他の質問についても同様のやり取りが続いて、参加者からいら立ちの声も上がります。
私が三問の後に要望(質問回数超えるので)として、「これだけの未経験のことを含む大きな工事なのだから、不安や問題は多くある。大深度地下に限るのではなく、リニア計画全体への問いに応えるべき」というと、会場から拍手が。この位、不十分な説明会だったという事です。
●品川・名古屋間の総事業費だけでも約5兆5,235億円、シールド工法は土砂崩れも浸水も心配ない、大深度地下をくぐり、南アルプスを突き破り、地震の影響はない、火事があっても走りぬく・・・こんな危ない話に本当にこの人達は確信を持っているのだろうか、と壇上に並ぶ人達を見上げていました。(2018.5.16)