私は、「産業労働常任委員会」以外に、「ヘルスケア・ニューフロンティア政策調査特別委員会」にも属しています。国家戦略特区、ライフイノベーション国際戦略総合特区、未病(みびょう)などを扱っています。
いずれも聞きなれない言葉だと思いますが、この分野は知事が「意欲」を示し、関連する部局も拡大しています。
この分野の特徴の一つは、県民生活を直接支える施策より、産業化に力点が置かれるところにあります。
例えば健康寿命を延ばすという時に、「健診の機会を増やし拡充させる」というよりは、「医療機器の開発」それに伴う「起業」などに傾きがちです。
その偏重を質したいというのが、私達の基本です。
特別委員会では、報告内容に沿って、主に以下の視点から質疑を行いました。
●「未病」ブランドについて
文字通り、病には至っていない状態をさしますが、この当たり前の言葉をブランド化して世界に売り出すとしています。自治体にとって、県民にとってそのことがどのような意味を持つのでしょうか。
「ブランド化」とそのロゴ普及にエネルギーを注ぐのではなく、医療・健診体制の充実、スポーツ施設の拡充など、健康で住み続けられる環境を整えることにこそ県財政を活用すべきと、私は考えています。
●老人クラブ活動の推進について
珍しく、住民に向けての施策で、地域の自主的活動を促しています。これ自体はもちろん悪いことではありません。
でも、県はそのための手立てを講じてはいません。むしろ逆行することを行っています。老人クラブへの補助金を、県の緊急財政対策の中で廃止しているのです。そのために運営できなくなったという声が県議団に寄せられています。
健康で過ごすことはみんなの願いです。そのための一つの方策として地域の交流の活性化をめざし一定の補助金を支出する、これは自治体にふさわしい仕事です。
私はこれらの補助金の復活を求めました。
●外国人家事支援人材について
神奈川県は特区事業として「女性の活躍を支えるために家事支援者として外国人を活用する」としています。
特区を活用して、在留資格を緩和し外国人家事支援者の就労を図ろうとしています。
これについて、大きく分けて二つの問題があります。
一つは家事支援者の雇用が、女性の活躍支援として実効性を持つかという点です。多くの働く女性は、家事支援者を雇用するほどの経済的余裕はありません。女性の活躍支援を本気で考えるならば、真っ先に行うべきは長時間労働や賃金格差の解消、そして安心して託することのできる保育園の増設ではないでしょうか。
二つ目に外国人家事支援者という点です。外国人労働力は、例えば技能研修生の名目で低賃金労働力として様々な中間搾取や人権問題で被害を被ってきました。今回も同様の懸念が指摘されています。労働力不足を理由として外国人労働力の範囲を拙速に広げるべきではありません。
以上の点から、この施策に対しては度々反対を表明しています。(2015.12.15)