※中原革新懇の総会記念企画が、「急成長する神奈川・川崎の防衛産業)」。
川崎市内の電機産業に勤めていたEさんが「防衛産業として急成長する電機企業」、私が「その背景としての神奈川の特徴」をお話ししました。
以下にそのレジメを貼り付けます。
1.平和国家が壊されている
◆安保3文書により防衛予算大幅増(22年度5兆4500億円 →26年度10兆6千億円
*安保3文書決定の2022年をはさんだ変化 Ex.三菱重工;国内3652億円→1兆6803億円/米国政府3690億円→1兆3686億円
*防衛省中央調達トップ10に神奈川県内企業6社(第3位三菱電機・第4位NEC・第5位富士通・第6位IMU・第7位東芝・第10位日立)。第1位の三菱重工は、本社東京だが、相模原製作所も拠点となっている
◆武器輸出解禁:実質的に殺傷能力ある武器も輸出可能(2026年4月高市政権閣議決定)
2.武器輸出解禁の背景
◆日本産業・経済は「極東における米軍の兵器廠」
*コルビー国防次官「米国の世界戦略は対中国に集中。同盟国産業を巻き込んで、国防につながる産業基盤強化を図る」→「防衛産業の多国籍化」
Ex1:USスチールの完全子会社化に際し、日本製鉄の橋本英二会長「米国が必要でありながら米国のみで充足しないものは技術力と製造力」「中国対抗の観点で、製造業復活を目指す米政府と目的が合致した」(過剰生産が生じた場合には、日本国内の生産拠点の閉鎖や統廃合を優先)
Ex2:ラピダスの先端半導体製造事業は、日本政府からの巨額の支援を得て、対中国をにらんだ米国軍需生産の一環を形成
◆安保3文書により、生産体制を増強している軍需産業は、防衛省(国内)だけではなくさらなる市場を目指している
◆既に開発・製造において多国籍化している
3.防衛産業が活気づく背景
(1)日本経済の長期停滞
短期収益性志向 →技術・技能の軽視(技術・人材の流出) →競争力の低下・供給力の減退 →コスト(人件費等)引き下げなど →低賃金による内需の減退
(2)日本製造業の衰退
Ex.半導体産業の凋落が象徴的
◆1980年代: 日の丸半導体と呼ばれ、日本のシェアは世界の50.3%、売上ランキング1位がNEC、上位10社のうち5~6社が日本企業。
<強さの原因>
*日本の技術力
*産業の担い手(東芝・三菱・NEC・富士通など)が通信総合企業であったことにより、重電・家電で稼いだお金で半導体部門を支えてきた
◆2019年には日本シェア10.0%に低下、トップテンには登場せず
<凋落の原因>
*1986年の日米半導体協定(日本市場において海外製半導体を20%に引き上げ=アメリカ製を買え)が決定的。
・当時アメリカ製だけでは足りず台湾・韓国からの輸入が増える
・FMV(公正市場価格):コスト・利潤をアメリカに提供することを義務付け(日本にダンピングをさせない)
韓国などはその制約がなく、安売り可能
*日本企業は韓国・台湾に技術供与:投資を増やさなくても生産量確保(目先の利益)
*設計と製造の分離(水平分業型)が世界の流れ。日本のビジネスモデルは垂直統合型
*日本経済長期低迷の中で、需要と供給に制約。日本が得意とする家電や自動車向けは低迷
(3)そして防衛産業へ
上記衰退の中で、電気通信業は防衛産業に活路を見出している
4.神奈川で進行している事
◆三菱重工は戦前戦後ともに日本の軍事産業をリード。相模原製作所:それまでの生産拠点である丸子(東京)と大井町工場が1970年に全面移転。ターボ・エンジン・戦車等主力
◆NEC森田社長、23年の防衛予算増をとらえて「防衛の先端分野とITサービスとの相乗効果が期待できる」
1600人増強、工場は床面積で5万平方メートルの拡張
◆三菱電機HP「防衛装備品の研究・開発・製造・維持整備を担ってきたエキスパート企業として貢献する」
*防衛・宇宙事業を1000人増員・生産棟増設
*日本企業として初めて外国政府と直接契約
◆東芝:従来の防衛生産拠点の小向工場が手狭となり、磯子区に大型ミサイル製造工場を新設。防衛生産基盤強化法の適用を受け建設費用75億円は国負担。
◆富士通:2027年度、アメリカの軍需大企業ロッキードマーチン社と提携。イージス艦搭載のレーダシステムの受注。
5 神奈川の特殊性
◆電機情報産業の蓄積
◆軍都横須賀の存在
◆相模原の存在:横須賀に次ぐ基地密集地、在日米軍唯一のミサイル司令部が存在
◆JAXAの存在:米軍宇宙作戦部長「宇宙はもはや戦闘領域」「同盟国と共同作戦や情報共有が重要」
*JAXA法改定2012年:従来の学術研究・基礎研究中心の「研究機関」から、宇宙利用推進の「国家プロジェクト実施機関」へ(平和利用限定→安全保障を含む利用へ)
*防衛通信衛星の開発・製造=三菱電機、ロケット製造=三菱重工・JAXAの共同開発、打ち上げ運用JAXA
◆県内には三ケ所の防衛装備庁装備研究所:相模原「陸上装備研究所」、川崎・横須賀「艦艇装備研究所」
6 防衛産業の活況で日本産業は復活するのか
◆軍需は一般の商品と異なり、国内の買主は防衛省のみ
◆軍需の利益には限界がある(訓練では新たな価値は生み出さず、仮に戦争になったとしたら軍需だけの利益は問題にならないほど国家的損失を負う)
◆軍需は生産財になりえない
◆武器輸出を活発に行えば、他国の紛争の助長
これらの点からこの分野に日本産業を託することはできないと考えているが、より深める必要あり (2026.6.20)

防衛産業で活気づく神奈川・川崎 |君嶋ちか子|前県...
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