●民医連がマイナンバーカードと保険証の一体化に反対する申し入れを行い県議団も同行しました。切実な課題となっています。
要望項目は、この一点。「政府に対して、個人番号カードと健康保険証の廃止ではなく、現行通り、健康保険証が使えるように存続を求めること」
●河野デジタル担当相は10月13日、「現行の健康保険証を2024年秋に廃止してマイナ保険証に切り替え、個人番号カードと健康保険証を一体化する」と発表しました。
個人番号法第17条の1項では「市町村長は(中略)その者の申請により、その者にかかわる個人番号カードを交付するものとする」と任意取得原則を定めています。河野大臣が「健康保険証を廃止する」「健康保険証と一体化する」として事実上の強制をすることは許されません。法律違反でもあります。
●この発言は、個人番号カードの普及がなかなか進まない中でなされています。
政府は「マイナポイント事業」と称し、市町村ごとに取得率を公表し、普及状況によって交付金に差をつけ、個人レベルでもマイナポイントとしてプレミアムをつけています。例えば、キャッシュレス決済と結び付けて2万円使用すると5000円分、健康保険証と紐づけると7500円分、公金受取口座と結び付けると7500円分など。
こんな税金の使い方許されません。特典でつらなければ広がらない仕組みであることも問題です。
●一方、医療機関も「マイナ保険証」対応のカードリーダーや専用のパソコンが必要になります。
全国保険医団体連合会の調査では、「24年秋の保険証廃止に反対」は72%に上ります。
システム運用を開始した医療機関は27%ですが、そのうち「利用患者がほとんどいない」が85%、「トラブル発生」が41%となっています。
システム準備中の医療機関に導入の理由を尋ねると、「システムの必要性は感じていないが、規則で義務化されたから」と90%が答えています。
また23年3月末までの導入期限に「導入できるか不明」が52%もあります。
●利用者も医療機関も負担が増え、混乱も大きく予想されます。申し入れの中では、具体的な懸念が多く出されました。
「介護施設では、緊急的な対応もあり保険証を預かる。一体化されて個人情報すべて預かることになるのは、とても負担」「高齢者はよく紛失する、保険証に全ての情報が集約されているのは危険」「保険証なくすことは絶対にやめてほしい」等々。
●県当局は、これらの訴えに対し、「私どもも不安を覚えている。情報閲覧可能などのメリットはあるものの、不安は無視できない。市町村にどんな声が寄せられているか、調査を行う」と答えました。
政府に対しても、是非保険証の存続を求めてほしいものです。(2022.11.15)