●「これからの障がい者入所施設のあり方と県立施設の役割」を考える集いに参加しました。
津久井やまゆり園の事件後、地域移行の流れが強まり、さらに津久井やまゆり園や中井やまゆり園の虐待問題も取り上げられ、障がい者入所施設のあり方が問われ続けています。
●特別支援学校高等部教師、相談支援事業者、家族、施設職員から報告がありました。
それぞれに地域での生活を本来としながらも、それを支え捕捉するものとして、県立施設の必要性を認めるものでした。
現実を踏まえれば、こうなるのだろうなと納得しながら聞きました。
フロアからの意見や感想では、報告を支持する発言が多かったのですが、「障がいを持つ娘にとって皆さんは敵であることが解った。特別支援学校の増設など求めるのはおかしい。(施設などの)解体から始まる」との発言もありました。ただその一方で、「県立施設だけ残せばいい」とも言っていました。真意を質す機会はありませんでしたが。
●今回一つの焦点は、虐待や拘束の問題でした。
これについては、中井やまゆり園の職員からも報告があり、現在も問題点の解明などは進めている事を前提としながら、いくつかの指摘がされました。
*一連の問題が、「障がい者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会」一部委員の「県立ダメ論・不要論」に結び付けられ、中井やまゆり園の実践の全否定となり、この流れが将来展望検討委員会に引き継がれている。
*中井やまゆり園の全否定で立ち行かなくなる当事者がいないのなら、その選択もあるが、現実はそうではない。また検証は信頼に足るものであったとは言い難い。公正・客観的な評価が必要。
*全ての「行動制限」を、一律に「虐待」とみなして、問題が解決するのか。(そうなれば、当事者による事件や事故の続出となるであろうとのフロアからの発言もありました)
●中井やまゆり園で起きたことに対する不当な扱いの最たるものとして、知事の「当事者目線の障害福祉実現宣言」が度々指摘されています。資料として提供された神奈川県職労連新聞にも職員側の所感が掲載されています。要約を以下に。
*宣言中「車椅子に縛り付けておく、それが当たり前のように行われてきた」との表現について
実態は、当たり前のように行われているものではないし、立位不安定で車いすから落下、立ち上がり転倒などに対し、骨折から守る支援として必要。(骨折に至った例もある)
*すべての「行動制限」を一律「虐待」とみなしている事について
外部への不安から、本人の希望により施錠している場合もある。また自傷行為や多少行為の背景には環境変化や耳・目から入る情報への過敏性などがあり、経過的に遮断が必要な場合もある。これらを一律に虐待とするならば施設支援は成り立たず、結果的には利用者・県民にとって不利益となる。
*知事が承認してきたこと
行動制限は県の正式な手順で行われ、会議での承認、県庁や知事の了解を経ている。それに対して責任者である知事が一方的に「虐待」と宣言することに大きな違和感。(職員に業務指示も出さずに、宣言を出すことの異常さを指摘する発言もありました)
*地域移行支援は
園では、地域で暮らすための支援を実践してきた。それとともに移行には受け皿作りが欠かせない。「宣言」が、予算と人材を用い地域福祉の充実に繋が
*県立施設の役割
「障がい当事者及び関係団体等に対するヒアリング結果」には、「地域生活支援」、「地域拠点」としての役割、「先駆的支援」の実現・情報発信などが多く示され、県立施設に新しい役割が求められている。
ここでは長くなるので取り上げませんが、月刊「創」の記事についても、多くの誤解を生み出しているとして、神奈川県職労連新聞掲載の所感も資料として提供されていました。
●つどいが終わり、隣席の方(保護者)と短時間話しましたが、「施設が無くなったら、保護者は、疲れ果てて倒れちゃうわよ」という言葉が、現実の大きな側面を物語っています。
私は、12月の本会議質問で、施設及び県立施設の必要性と充実させることを訴えましたが、そのことに確信を得ました。同時に、一連の流れの中で、県立施設が縮小を続ける傾向に対する危機感も募りました。(2022.1.29)